元美大生、算数なら東大生に勝てるのか勝負する
算数というものがある。数学ではない、イメージ的にはその一歩手前が算数だ。足し算、掛け算、割り算など生活でも普通に使うものが算数なのではないだろうか。
もしかすると、このレベルならば、誰もが互角で東大生にも勝てる可能性があるのだ。もちろん正面から勝負すれば、地頭の差が出る可能性があるので、ひらめきを必要とするものならどうだろう。勝てちゃうのではないだろうか。
元美大生、東大生に勝ちたい
誰もが勉強というものをしてきた。義務教育の9年間は嫌でも勉強をしなければならない。国語、算数、理科、社会、英語と毎日、毎日勉強をしてきたのだ。しかし、不思議なものでだんだんと差が生まれる。勉強できる人とできない人が生まれるのだ。
勉強できる人はいい高校、いい大学へと栄光のゴールデンロードを進む。ただそうでない人もいる。勉強ができないのだ。分からないところが分からない、というレベルで勉強ができない。それが私です。
私も勉強ができず、早い段階(掛け算でつまづいた)で勉強を諦め、美大へと進学した。ただ30代になると、思うのだ。社会経験が勉強面でも反映されているのではないか、と。社会人をしていると様々な経験が生まれ、臨機応変に対応できるようになる(ひらめきだ)。これが勉強面に生かされないだろうか。
世界算数というものを見つけた。xとかyとかzとかの公式が並んだ算数ではなく、ひらめきなどでカバーできる問題だ。これであれば、今の私なら解けちゃうのではないだろうか。社会人になって、ひらめきは鍛えられた(たぶん)。ただただ芸大生だった当時は絶対に勝てないであろう、東大生にも勝てちゃうのだ(たぶん)。それが世界算数なのだ。
美大生、東大生に勝つ
今回勝負するのは高野りょーすけさん。彼は、東大にストレートで合格した。高校時代の成績はずっと学年1位であり、最高偏差値は83。漫画やゲームをすることはなく、ずっと勉強をしてきたそうだ。かわいそうである、そんな彼がこれから世界算数で、高校時代に偏差値36だった私に負けてしまうのだ。
世界算数は、小学校1、2年生向け、3、4年生向け、5、6年生向け、そして、それ以上の4つのカテゴリーに分かれる。つまり中学校から先は中1も30歳も同じ問題を解く。この説明だけで方程式等を必要としないことがわかると思う。ひらめきなのだ(きっと)。経験がものを言うのだ(きっと)。
本来はWeb上でテストを行い、全12問40分間ということになる(過去には12問60分ということもあり)。1000点満点で、解答までの時間や、周りが解けていない問題は点数が高いなどで採点が行われるけれど、今回は紙で純粋に正解数だけで競おうと思う。
算数って難しい
今回は過去問なので12問60分で競うことにした(2017年版では40分)。それではここから、真剣勝負のスタートだ。
「よーいスタート」の掛け声で、私は1枚目の問題から取り掛かったけれど、高野さんは全部の問題にまず目を通していた。できるやつだ。
問題が数式ではないので、頭を柔らかくすると答えを導くことができる。ただ解答用紙を見ていたら、東大の高野さんは簡単な計算で解いていて、私は地道な計算をしていた。ひらめきが大切と書いていたが、ひらめいているのは東大生の方のようだ。
東大生を経験でコテンパンに倒す、と思っていたけれど、どうも雲行きが怪しい。問題を読みつつ、これはヤバいぞ、となっていた。問題文からしてわからないのだ。だんだんとこれを解く意味はあるの、と勉強できない人の代表的な思考になっていた。
問題が難しすぎるのだ。優しい言葉で書いているのに、日本語で書いてあるのに、知らない言葉で書かれているかと思えるような問題だった。その結果、私の髪型はどんどんとボサボサになった。頭を抱え続けたためだ。
たまに隣を見ると、なんだこの差は、とアリがゾウを見るように感じていた。高野さんと私では年齢の差もあり、私の方が経験豊富だ。ひらめくはずだ。ただ、彼が大きく見える。彼にならついていける気がした。東大生って頼もしい。
運命の結果発表
60分が終わり、世界算数が終わった。本来はオンラインでの採点だけれど、今回は編集部の人に答えを読み上げてもらう形で答え合わせをする。高野さんに自信を聞いてみたら、首をひねっていた。あれ、これはあるぞ。私の勝利あるぞ。実は私、自信あります。
高野さんは12問中8問正解で、私は12問中2問だった。テスト中、私は体当たりで答えを求めようとしていたけれど、それも正解を導くひとつの方法と思っていた。ただ全然正解を求められていなかった。ちなみに平均の正答数は4問くらいらしい。つまり、その2倍の正答率のやっぱり高野さんは天才で、私はそのなんというか、平均以下ということになる。
なんで平均以上を取れて不満なのか。高野さんは「もっとできると思っていた」と言っている。解答を聞いても「なんでそうなるんですか?」と聞き返していた。私は正解を聞いて、なるほど、とも思わなければ、なんでとも思わない。「へー…」だ。だってわかってないのだ。勉強できない人特有の「わからないところがわからない」なので、知らない言葉を聞いているようだった。
しかし。
この世界算数でわかったことは、東大生というか頭のいい人のひらめきと向上心である。ひらめきも向上心も私なんかとは比べものにならないほどあるのだ。最初は「りょーすけくん」と彼を呼んでいたのだけれど、最後の方は「高野さん」と呼んでいた。彼は出世する。彼には媚を売らなければならないのだ。これが経験の差だ。瞬時に出世するやつを見極めてついていくのだ。
算数っておもしろい!
高野さんは「いい問題が多いですね、解いていておもしろかったです。ただもっとできると思ってたので、ちょっと悔しいです。もっと勉強しないとダメですね」と言っていた。こんなに向上心のある高野さんに、私は割と本気で勝てると思っていた。あっさり負けたけど。東大生でなければ勝てるのか、と思ったけれど、私は平均以下の点数だったので、たぶん誰と勝負しても負ける。それが人生なのだ。その人生でどんだけ勝負していくかが大切だ。世界算数とはそういうものなのだ、きっと。
ライター
地主恵亮 (じぬしけいすけ)
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。無職でもリア充になれる方法を紹介した「インスタントリア充」(扶桑社)発売中です。ほかに「妄想彼女」(鉄人社)、「東京おのぼり観光」(アスペクト)もあります。
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