法務省、契約書の審査にAI導入指針 ニュース

法務省、契約書の審査にAI導入指針

法務省は8月1日、企業間の契約書を人工知能(AI)を用いて審査するサービスについて、法律には抵触しないとする指針を示した。AIが普及するにつれて、法律に関連する業務をITで効率化する「リーガルテック」が浸透しつつある。法務省はAIサービスの適法範囲を明らかにすることで、法的サービスのAI活用を促したい考えだ。

AI審査サービスはリーガルテックの一つ。企業法務の担当者や委託を受けた弁護士などが企業の契約書の内容をチェックし、不利な内容や紛争のリスクを見つけるのに活用されている。

しかし、弁護士法では弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を扱うことを禁じている。以前から、AI審査サービスが弁護士法に抵触するのではないかという懸念があった。法務省は法律に抵触しない範囲を示し、こうした懸念を解消した。

指針によると、企業間の一般的な取引契約のうち、取引内容に争いがない場合は適法となる。例えば、継続的に取引を行っている企業の間で、同様の取引を行うケースなどが当てはまる。

無料で提供するサービスである場合、弁護士が補助で使う場合も適法だ。AIが契約内容の日本語的な誤りを直すなどのサービスは問題にならない。

弁護士法に抵触するとされるのは、AIが法的な判断を示す場合だ。契約書の内容の法的リスクを判断し、その修正を提案すると「弁護士法に抵触しうる」とした。弁護士ではない事業者が法的な提案をし、報酬を受け取れば、同法違反となる。

また、法律上の争いがある取引や利用者の個人情報を法的処理する場合にも弁護士法に抵触する。法務省は「指針では考え方や具体例を示した」とし、リーガルテックのサービスを提供する事業者や企業法務の担当者の業務に役立てることを期待している。

6割超の企業がAI審査サービスを利用したい考え

日本経済新聞の調査によると、主要企業の8割以上がリーガルテックの導入に動き出している。一方、そのうち約4割もの企業が「サービスの水準が不十分」だと不満を明らかにした。

調査は2022年10月、企業法務担当や弁護士を対象に実施。リーガルテックのうち、「利用中」もしくは「積極的に導入を検討中」と答えた割合が最も多かったのが「電子契約」(85.3%)で、「AI契約書レビュー」(65.9%)が続いた。

【関連リンク】

・企業間の契約書のAI審査サービス 法務省が初の指針公表(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230802/k10014150981000.html

・リーガルテック導入8割超 AIレビュー、満足度に温度差(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2425L0U3A120C2000000/

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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