国内初のデジタル給与支給、ソフトバンクが実現
2024年9月25日、ソフトバンクとそのグループ会社計10社が国内初の「デジタル給与」支給を実施した。希望する従業員が給与の一部をスマートフォン決済アプリ「PayPay」で受け取ることが可能となった。
デジタル給与は、電子マネーを用いて会社から従業員へ賃金を支払う新制度で、2023年4月に解禁された。2024年8月9日、厚生労働省がPayPayの運営会社を第1号の取り扱い事業者に指定し、本格的な運用が開始された。
ソフトバンクグループでの支給では、希望者が給与の一部(上限20万円)をPayPayアカウントで受け取った。社員からは「無事に利用できた」との声が上がった。PayPay社員の柳瀬将良さんは「まずはスタートラインに立てた」と手応えを感じている。
デジタル給与の可能性と残る課題
デジタル給与の導入は、企業と従業員双方にメリットをもたらすと期待されている。企業側は手数料低減やイメージアップが見込める。従業員側はキャッシュレス決済の利便性や給与受取の柔軟性が評価されている。
しかし、課題も顕在化している。2023年9月の調査では、デジタル給与を利用したいと考える人は約2割にとどまった。銀行口座での受け取りが依然として安全とされ、デジタル決済のセキュリティリスクや通信障害への不安が払拭されていない。
一方、単発バイトや引っ越し業界ではデジタル給与への関心が高まっている。若年層や初めてアルバイトをする人々にとって、使い慣れたスマホ決済で給与を受け取ることは大きなメリットになる。
PayPayは年内にソフトバンクグループ以外の企業へのサービス提供を予定しており、300社以上から問い合わせが寄せられている。他社も市場参入を準備しており、デジタル給与市場の拡大が期待されている。
専門家は、補償制度やポイント特典などが周知されれば、デジタル給与の普及が加速すると見ている。今後、企業と従業員のニーズに応じて制度が改善され、日本の給与支払い方法がさらに多様化する可能性がある。
【関連リンク】
・デジタル給与本格化、ソフトバンクGが国内初のペイペイ支給 「経済圏」拡大に各社も準備(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20241009-A3RG7KB4J5IQ7JHDDVM3NPEVWI/
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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