数百万年保存可能な記憶技術、ダイヤモンドで実現
2024年、中国科学技術大学の研究チームは、ダイヤモンドを使った高密度記憶技術の概念実証に成功した。1立方センチメートルあたり1.85TBのデータ保存を可能とするこの技術は、Blu-rayディスク約2000枚分の容量に相当する。
研究では、市販の単結晶ダイヤモンドプレートにレーザーを照射し、微細な空洞を作成する。この空洞に別のレーザーを当てることで輝度の変化を記録し、情報を保存する仕組みだ。
この技術は、数百万年にわたりデータを保持できるという驚異的な耐久性を持つ。また、99%を超える高い読み取り精度も実現しており、将来的に低コスト化が進めば、日常的なデータ保存の概念を一変させる可能性がある。しかし、現時点ではコストの高さと機材の制約が課題となっている。
日本発の量子メモリ
一方、2022年には日本の研究チームが量子メモリに適したダイヤモンドウェハの開発に成功している。この研究では、直径5.5cmのダイヤモンドウェハを製造し、不純物濃度を従来比で800分の1に削減。理論上、Blu-rayディスク10億枚分のデータ保存が可能とされている。ただし、こちらの技術は量子コンピュータとの連携を目的としており、量子スピンの安定性を活用する高度な技術だ。
両国の研究は異なる目的を持つが、いずれもダイヤモンドを基盤とした新しいデータ保存技術を切り開いている。物理的な高密度記録を追求する中国と、量子技術の応用を目指す日本。これらが補完的な形で発展すれば、未来の情報管理やアーカイブの在り方に革命をもたらす可能性がある。
量子メモリやダイヤモンド光ディスクが普及する未来では、現在のデータ保存の常識が覆るだろう。ダイヤモンドは、輝きだけでなく、データ保存の世界でも新たな価値を提供する存在となりつつある。
【関連リンク】
・Blu-rayディスク2000枚に相当する情報をダイヤモンドに詰め込む技術が誕生(gigazine)
https://gigazine.net/news/20241203-terabit-scale-diamond-data-storage/
・直径2インチ超高純度ダイヤモンドウェハの量産に成功 量子コンピュータの実現に目途(Orbray)https://orbray.com/magazine/archives/3022
関連記事
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
- tag
この記事を気にいったらいいね!しよう
PreBellの最新の話題をお届けします。