一つの場所に留まると思考が腐っていく。都会と地方の多拠点生活で狭いグーグルの世界から抜け出す。
身体の疲れはお風呂で、脳の疲れはサウナで癒すと言われるように、毎日、会議やPCワーク三昧の都会のビジネスパーソンにとっての疲れは、身体の疲れよりも、脳の疲れの方が圧倒的に多いことでしょう。
都会では、リモートワークの影響もあって、仕事とプライベートの境界線がどんどん曖昧になりつつあります。
もし、都会で仕事とプライベートのオン/オフを切り替えることが難しいのであれば、定期的に物理的な場所を移動することで、オン/オフを切り替えていくべきなのかもしれません。
社会心理学者の八木龍平さんは著書「成功する人が磨き上げている超直感力」の中で、自分自身の直感と繋がるためには、普段の生活圏から物理的に100キロ以上離れる必要があると述べています。
生活圏から100キロ以上離れると、普段関わる人たちの想念が届かなくなり、他人の要望や目に見えない同調圧力から自由になることができるため、本当の意味で自分自身と繋がることができるのだと言う。
都会では、日々の業務をこなすだけで満足してしまう。
都会から物理的に離れ、田舎で、自然や地域、そして、家族との繋がりを取り戻して、初めて、長く手をつけられていなかった自分が本当にやるべきことに手をつけられるようになっていくのでしょう。
世界的に見れば、これから2050年までに、毎週100万人が都市に移住してくるのだと言う。
グローバル化とは、ある地域で起こったことを別の地域にコピペしていくことですから、その国の文化や都市の独自性は、グローバル化が進むにつれて、徐々に薄れていくことになります。
ニューヨーク、香港、そして、東京と、世界中どこの都市に行っても、誰もが大体同じような顔をし、スタバのコーヒーを片手に、同じような音楽を聴きながら歩いている。
東京、大阪、名古屋と日本の都市がもう一度、都市のオリジナル性を取り戻し、都市の魅力を取り戻すためには、都市に住む人たちが、定期的に都市を離れ、田舎や地方から新しいアイディアを持って帰ってくる必要があるのだろう。
作家は書く作品によって場所を変え、名作の多くは温泉宿から生まれた?
どんな仕事でも、必要なものは、技術・スキル的な部分が3割、アイディア・創造性の部分が7割程度です。
移動距離とアイディアの量は比例するという言葉がありますが、本当にやりたいことが見つからない人、新しいアイディアが見つからない人というのは、移動距離が短いだけなのかもしれません。
オンラインの作業というのは、移動がないため、脳の一部にしか刺激がいかないのです。
心理学者のディーン・キース・サイモントンの研究によれば、様々な文化において、並外れた業績が上がるのは、民族の移動があった時なのだと言います。
これからは、DXやAIなどの普及により、リモート・ワークを取り入れた働き方が当たり前になり、週3日の休みがどんどん普及していくことでしょう。
オフィスの存在意義は、昭和、平成、令和と時代によって大きく変わってきています。
昭和は、「事務所」という名の通り、オフィスとは事務作業をする場所でしたが、現在、事務作業の多くは、テクノロジーに代行されています。
平成のオフィスは、PCをひたすら叩くことで生産性をとにかく追求していきました。
しかし、現在では、生産性よりも、新しいアイディアを生み出す創造性の方が重視され、職場や会議室で画期的なアイディアを思いついたという話はあまり聞いたことがありません。
作家は作品によって書く場所を変えるのだと言い、夏目漱石、川端康成、宮沢賢治など、日本を代表する作品の多くは、温泉宿から生まれたという話もあるくらいです。
宮沢賢治は鉛筆とノートを首からぶらさげて、自然の中で物語を考え、宮沢賢治から大きな影響を受けている宇多田ヒカルは、岩手県や様々な自然の中に足を運び、創作のインスピレーションを受けています。
あの生活保護を受けていたJKローリングでさえ、自宅ではなく、アイディアが浮かびやすいカフェに入り浸り、ハリー・ポッターを執筆しました。
チベットには、「創造性」という言葉はなく、「創造性」を翻訳するのに一番近い言葉は「自然」なのだと言いますが、恐らく、自分が一番自然の状態でいられる場所こそが、一番アイディアが生まれやすい場所なのでしょう。
令和のオフィスは、個人個人が外から持ち寄ってきたアイディアを共有したり、議論したりしながら、頭脳と頭脳をぶつけ合って、新しい価値を生み出す場所になっていくはずです。
水が腐るのは流れず淀むからです。お金も血液も、一つの場所で止まらず、循環し続けているからこそ意味があります。
思考も同じように、一つの場所に留まっていては、腐ってしまいますし、思考が腐れば、そこにある人間関係も腐っていってしまうことでしょう。
複数の拠点を行き来しながら、直感力を高め、健全な思考のフローをつくることこそが、令和の時代をサバイブする数少ない方法なのかもしれません。
多拠点を続けるポイントは、まずは固定費を限りなく削減すること。
多拠点の生活を実現させるためには、固定費をできるだけ削減する必要があります。例えば、自宅のインターネット回線は、都会に1回線、地方の住まいに1回線引くと、費用が単純に2倍になってしまいます。
ところが、So-net 光 minicoのようなサービスを使えば、通常4000円〜5000円ほどのインターネット回線の料金が、3400円まで落とすことができます。
ちなみに、著者は東京の自宅で毎月5,720円のインターネット回線の料金を支払っていましたが、So-net 光 minicoに変更したことで、月額3400円までコストを落としました。
香川県にもう一つの拠点にするための小さな賃貸を借り、そこでも同じようにSo-net 光 minicoのインターネット回線を引いています。
当初は、カフェなどで仕事をして、自宅ではテザリングを使えば、香川県のもう一つの拠点には、インターネット回線は必要ないかとも思いました。
しかし、いちいちテザリングをつなぐ手間やダウンロードにストレスを一切感じないという部分を考慮すると、メインの住まいでなかったとしても、自宅にしっかりとしたインターネット回線を引くことは大切です。
インターネット環境は、リモート・ワーカーにとっては、砂漠のオアシスのような存在であり、新しい思考やアイディアを生み出すために、多拠点生活を送っているのに、つまらないところでストレスを感じていては意味がありません。
So-net 光 minicoは契約して、送られてきたルーターに線を差し込むだけですぐに使えるため、ITオンチの妻でも一人ですぐに接続することができました。
契約期間の縛りや違約金なども特にありませんので、とりあえず試しにやってみる多拠点という意味では、minicoは非常に使い勝手が良いサービスなのだと言えます。
夜の回線のスピードも極端に遅くなることもありませんし、SNSで他の方の反応を見ても、多くの人が夜でも快適に使えているようです。
他にも月額サブスクサービスのADDressやSANU 2nd Homeなどを使って、比較的費用を抑えながら多拠点生活をするためのサービスがどんどん増えてきています。
こういった多拠点生活のためのサービスは、定期的にPrebellの方でもご紹介していきます。
終わりに
かつて、地方に向かう人というのは、都会に疲れ、静かな安らぎを求めた人たちでした。
しかし、現代での地方は、都会で溜まった脳の疲れを回復させ、もう一度、自分自身の直感と繋がることで、新しいアイディアを生み出すための場所になっている。
「なぜかやる気がでない。」、「早く仕事を終わらせたい」などの、否定的な感情が出てくるのは、脳に疲労が溜まっている証拠なのだと言えます。
グーグルで検索できるのは、既に誰かがアウトプットしたものだけで、どれだけ検索を続けても、そこに宝は存在しない。
グーグルで検索できる世界の情報は1割程度で、残りの9割は、まだ言葉やデータにすらなっていない新鮮なアイディアばかりです。
移動距離を増やし、都会とは違った角度から物事を見ることで、グーグルでは決して検索できない「視座」を手に入れることができる。
物理的な移動とは、グーグルの検索履歴で埋め尽くされた頭からログアウトし、再度、本当の直感にログインするための儀式のようなものなのだろう。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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