YouTuberの収益は過去10年間でどのように変化したか?YouTuberのこれまでとこれからを徹底解説
「YouTuber」が一職業として認識されてきてから数年が経ちました。
動画投稿サイトであるYouTubeで、個人が広告収入が得られるようになったのは2012年でした。
そこから日本でも、YouTubeからの広告収入で生計を立てる「YouTuber」と言われる職業が出てきました。
YouTuberはトップレベルとなると、年間数億稼ぐと言われており、「YouTubeドリーム」と言われることもありました。
ですが、この高い収益も長続きはせず、最近では稼げないYouTuberも増えてきているとされています。
この記事では、YouTuberの収益は過去10年間でどのように変化したかを解説します。
- 現在のトップYouTuberは年収100億円に近い
- YouTuberの広告は企業の広告費が源泉となっている
- YouTubeは再生数さえ稼げれば稼ぐことができる「バブル期」を経て、「成熟期」に入り、稼げるYouTuberと稼げないYouTuberに二極化している
目次
まずはじめに、トップのYouTuberはどの程度稼いでいるのかを解説していきます。
2022年末時点だと、個人で世界一の登録者を持っているのはスウェーデン出身のゲーム実況者のPewDiePie氏です。
登録者は1億人を超しており、登録者だけで日本人の全人口に匹敵します。
収益は年間約7000万ドル(約76億円)を超えるとされています。
2022年、PewDiePie氏は家族と日本に移住し、東京都世田谷区で生活をしています。
ここまで稼ぐことのできる広告収入はどのような仕組みになっているのでしょうか?
YouTubeの広告収入は企業の広告費で成り立っています。
2023年2月時点では、登録者1000人以上、総再生時間4000時間を超えると広告収益を得ることができます。
広告収益化したチャンネルの動画を流すと、動画の間もしくは再生前に広告が流れます。
広告を流したい事業主はこの枠に対してお金を払い、動画を流します。
広告の長さや形態によりますが、2023年2月時点では1000再生ごとに約400円〜600円程度の料金を払います。
この仕組みでYouTuberはYouTube上で広告収入を得ています。
以前は多く稼ぐことが出来たYouTuberですが、最近は「収益が10分の1になった」と述べるYouTuberもいます。
2012年に広告収入を得られるようになってからのYouTuberの変遷を以下の3つの期間に分けて解説します。
・2012年:先行者利益が取れた時期
・2016-2018年:YouTube最盛期
・2019年:下り坂の時期
以下に詳しく解説していきます。
1つ目の時期が、2012年周辺の時期で、この時期にはYouTubeで生計を立てる人が出てきました。
同時期に、「YouTuber」という言葉が世に出始めました。
地上波で「好きなことで生きていく」という広告をYouTubeが流し始めた時期でもあります。
この時期はYouTubeよりもテレビや他の媒体に広告をかける企業も多く、収益が多い時期ではありませんでした。
ですが、一部のYouTuberはこの時期に独立をしてYouTuberとして生活をし始めています。
ヒカキン氏は「収益だけで生活をしていける」と判断して、2012年12月に前職であるスーパーの店員を退職しています。
その他にもはじめしゃちょーといった他の有名YouTuberもこの時期に専業のYouTuberとして独立をし始めています。
この時期に有名YouTuberが独立をし始めたと考えると、この時期は「通常の会社員よりは稼げる」程度の時期であったと予想されます。
2つ目の時期が、「YouTube最盛期」と言われている時期です。
国内外で数十億円単位を個人で稼ぐYouTuberが出てきた時期でもあります。
個人だけでなく、企業や芸能人が参入し始めた時期でもあります。
この時期は、多くの人が動画投稿をし始めたことで、企業のYouTubeへの広告費も上昇して、「バブル」と言われる時期でもありました。
この時期に始めたYouTuberには、現在数十万人〜数百万人レベルの人気YouTuberが多数存在します。
3つ目の時期が下り坂の時期です。
この時期に入ると、以前ほど稼ぐことは難しくなってきたと考えられるようになりました。
実際、「収入は以前の10分の1になった」と暴露する人気YouTuberも出てきました。
理由は2つあると考えられています。
1つ目はYouTuberの増加です。
「YouTubeは稼げる」という情報が多くの人に知られたことで、YouTubeを始めたユーザーが多くなりました。
今までテレビでのみ出演していた芸能人や企業も独自のチャンネルを持つようになりました。
チャンネル数の母数が増えると、1チャンネルの再生時間が少なくなり、広告収入が少なくなります。
2つ目の理由は、コロナによる広告費用の抑制です。
2019年に始まったコロナ禍は多くの企業へダメージを与え、以前YouTubeに多く広告を出していた企業も広告費を抑制しました。
実際、広告費が抑制されたことで、広告収入に多く依存しているGoogleやMeta(FacebookやInstagramの運営元)の収益も下がりました。
そうなると必然的に、YouTuberの1番の収入源である広告費が下がり、広告収入が下がります。
実際、有名なYouTuberでも収益が10分の1、5分の1になったと言うYouTuberが出てきました。
したがって、「YouTuberはもう稼げない」という人も一定数出てきました。
YouTuberの今後は、収益が二極化していくと予想されています。
収益が下がったというYouTuberが多数いる一方で、一部の有名YouTuberは収益が上がったとされています。
実際、日本でトップレベルの登録者と人気を持つヒカキン氏は自身のチャンネルの中で「収益が過去最高に達成した」と述べています。
この理由は、YouTubeがマーケティング理論でいうところの「成熟期」に入ったと考えられるためです。
あらゆる製品やプロダクトは、導入期・成長期・成熟期・飽和期・衰退期の5つのプロセスがあるとされています。
「成長期」は売り上げが急拡大しているため、出す製品のユニーク性が薄くても売れる時期だとされています。
この時期にあったYouTubeは「バブル」とされ、再生数さえ取れれば多く稼ぐことが出来ました。
YouTubeは「バブル」と言われた成長期を経て、成熟期に入ったと考えられています。
この時期は、競合が多数生まれ、市場のニーズに応えられるユニークな製品が生き残る時期とされています。
そのため、市場のニーズに応えられるユニークな動画を出し続けられるYouTuberは生き残り、他のYouTuberの売り上げ(広告収益)は下がったと考えられます。
この理由から、今後のYouTuberは「稼げるYouTuber」と「稼げないYouTuber」の差が大きくなっていくと考えられます。
収益を得られるようになったYouTubeを用いて、2012年頃から年間数億から数十億を稼ぐユーザーが出てきました。
この姿を見て、一般のYouTuberでも多く稼ぐ人が出てきて、「YouTubeは稼げる」と考える人が増えました。
結果として、市場が飽和して「稼げるYouTuber」と「稼げないYouTuber」が二極化するという経緯をたどってきました。
今後、YouTuberの収益のニュースにもぜひ注目をしてみてください。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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