Suicaの20年の変化とこれから|気になるペンギンの秘密からクラウド化の構想まで
通勤や通学で何気なく使われている交通系ICカード「Suica」ですが、20年前から機能やデザインがアップグレードされていることを知っていますか?
今回は、Suicaの20年前とのデザイン・機能の違いや、名前の由来、これからについて解説します。Suicaのペンギンにまつわる意外な情報や2027年にかけてのSuicaの壮大な構想についても触れていくので、ぜひ参考にしてください。
- Suicaの名前は、「Super Urban Intelligent Card」の頭文字
- 20年前と比べ、電子マネーやモバイルSuicaなどの機能が追加された
- Suicaは2027年にかけてFinTech連携やチケットレスサービスなどが予定され、さらに生活の基盤へ
目次
Suicaの概要について以下の通り解説します。
・Suicaの名前の由来と仕組み
・Suicaの機能
・Suicaの有効期限は?
・Suicaのペンギンの名前はなし
通勤や通学でおなじみの交通系ICカードSuicaの名前は、「Super Urban Intelligent Card」の頭文字です。「スイスイ行けるICカード」という意味もあります。
また、仕組みとしては、通勤や通学で改札を通る時にSuicaを読み取り機にかざすとピッと音がしますが、その瞬間にICチップの情報が読み取られて運賃が計算されています。Suicaのカード内にはICチップが埋め込まれており、それを自動改札機の読み取り装置で読み取るわけです。
この自動改札機で読み取られた情報は、各駅に設置されているサーバーと一定間隔で同期されます。盗難による紛失処理をした後も数時間利用されてしまうのは、リアルタイムで情報が反映されないためです。
Suicaの現状の機能は以下の通りです。
・お支払い機能
・鉄道・バス利用機能
・リライト機能
・チャージ機能
<お支払い機能>
Suicaは、交通系電子マネーが利用できる店舗での決済に利用できます。レジの横にSuicaのマークがあれば、利用可能です。決済方法は簡単で、支払い時に「Suicaで」と伝えて、読み取り機にタッチするだけです。
<鉄道・バス利用機能>
北海道から九州まで、Kitaca、PASMO、TOICA、manaca、ICOCA、PiTaPa、SUGOCA、nimoca、はやかけん、icsca、odecaの各エリアの鉄道・バスなどを、Suica1つで利用可能です。旅行の際もその都度切符を購入せずに済むので便利です。
<チャージ機能>
Suicaは、上限20,000円までは入金可能です。入金できる単位は、500円・1,000円・2,000円・3,000円・5,000円・10,000円の6種類です。
使っていないSuicaがまだ使えるのか気になったことはありませんか?長期間使用していないSuicaは、使えない可能性があります。
10年間一度も利用していない場合は、使用できなくなるので注意しましょう。使用できるかどうかは、近隣Suicaエリアの改札の駅員さんに聞けば分かります。
Suicaといえば、可愛いペンギンのキャラクターも有名です。ペンギンのモデルとなったのは南極大陸で繁殖するアデリーペンギンで、好物は魚肉ソーセージです。
また、気になっていた人もいるかもしれませんが、名前はありません。Suicaのペンギンたちは、利用者一人一人のICカードの分身的な存在であるため、名前はないです。
Suicaのペンギンはグッズ展開もされています。マスキングテープや水筒、Tシャツまであり、分身としていつでもどこでも一緒に出かけられるラインナップです。
Suica20年の変歴について解説します。
・Suica20年間の進化
・Suicaデザインの進化
Suicaのサービスは、2001年11月18日、東京近郊の駅を中心に始まりました。カード表面の緑色のデザインは、スイカとかけられています。
次のように機能が追加されてきました。
・2004年3月 電子マネーの利用開始
・2006年1月 携帯端末で使える「モバイルSuica」登場
・2022年5月 定型リポート「駅カルテ」開始
「駅カルテ」では当該駅の乗降客数や、時間帯別や平日・休日別の利用状況などが分かります。
初期はペンギンもロゴデザインもないシンプルなデザインでした。そこから、SuicaペンギンとSuicaロゴの組み合わせとなり、Suicaペンギンが横向きから正面向きのデザインに変更されるなど、Suicaの歴史とともにデザインも変化してきました。
近年では「Suica認証情報提供サービス」導入企業向けに希望のデザインを受け付けることが発表されました。ジャイアンツシーズンシート契約やチケット購入の特典で、ジャイアンツオリジナル券面のSuicaの発行が発表されるなど、オリジナルのデザインも増えています。
Suicaのこれからについては次の通りです。
・クラウド化でリアルタイムの処理が実現
・Suicaは生活の共通基盤になる
Suicaは、これまで各自動改札機で運賃計算を行なっていましたが、サーバー上で一括計算を行うなど、クラウド化を進めていきます。
クラウドとは、ソフトウェアのインストールなどをしなくても、オンライン上でデータなどのやりとりができるサービス形態のことです。クラウド化すると、それまで利用していた自社サーバーから、別の事業者のクラウドサービスを利用することになります。
クラウド化すると、自動改札機はサーバーの情報を送受信するだけになるので、サービスの変更時にはメインサーバーの情報を書き換えるだけで処理が済みます。これまでは、各自動改札機に設定が必要だったため、大幅なコスト削減につながります。
リアルタイムでの処理も可能になるため、これまで盗難にあって紛失処理をしても数時間経たないと処理が完了しなかった問題も改善します。
JR東日本グループの経営ビジョン「変革2027」では、次の時代に向けて鉄道起点のサービスから人の生活の「豊かさ」を起点にしたサービスの提供に注力することを掲げています。
ビジョンを実現する上で、Suicaの共通基盤化を考えており、詳しくは以下のようにSuicaが活用されるイメージです。
・FinTech連携
・認証サービス
・チケットレスサービス
・移動に関する充実した情報提供
FinTech連携では、新しい決済手段としてSuicaの活用を想定しています。認証サービスでは、ホテルのルームキーやデジタルチケットなど共通のキーとしてSuicaを利用します。
また、チケットレスサービスでは、改札をチケットなしで利用できたり、移動に関する充実した情報提供では、運行情報や子供の見守りをスマートフォンで確認できたりと、Suicaが生活の至る所で利用できる未来が想定されています。これまでの20年以上の進化が、次の2027年までに期待できるでしょう。
今回は、Suicaの20年前とのデザイン・機能の違いや、名前の由来、これからについて解説しました。
Suicaは20年ですっかり私たちの生活に浸透しましたが、2027年にかけては、さらに生活の共通基盤となることが想定されています。またデザインもペンギンの向きがさりげなく変更されているなど、楽しい変化もあるので、周りの人と使っているSuicaを見比べてみると話のタネになるでしょう。
これからも変化し続けるSuicaから、目が離せません。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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