ZEH水準リノベーションでかなえる安心・快適な住まい
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2024.08.29 ZEH水準リノベーションでかなえる安心・快適な住まい

令和5年の住宅・土地統計調査によると、2023年の空き家は900万戸。2018年から51万戸増加しており、住宅総数に占める空き家の割合は13.8%です。

誰も住まなくなった実家をなんとかしたいと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

一方で、新築のマイホームを手に入れたいと思っても、高くて手が出せないという方もたくさんいます。

このような状況の中で、リノベる株式会社は、資本業務提携している積水化学工業株式会社と協業するすべてのZEH(ゼッチ)水準リノベーション案件において、省エネ性能ラベルの表示をスタートしたと発表しました。

今回は、リノベる株式会社にてZEH水準リノベーションの責任者であるコネクト本部 本部長 三浦 隆博様とブランド戦略部 吉村 采真様よりマンションのZEH水準リノベーションについてお話をお伺いしています。

リフォームとリノベーションの違いとは?

リフォームとリノベーションの違いとは?

御社の業務内容について教えていただけますでしょうか?

吉村)リノベる株式会社は「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。」をミッションとして掲げるリノベーションの会社です。

リノベるが推進するリノベーションは、「建築」「不動産」「金融」と様々な分野にまたがるソリューションであるため、リノベるは社内外に専門部署やパートナーを持ち、3つのプラットフォームを構築しています。1つ目は個人のお客様向けの住宅リノベーションプラットフォーム、2つ目は法人様向けのCREリノベーションプラットフォーム、3つ目はパートナー企業様向けのリノベDXプラットフォームです。

個人のお客様が不動産屋さんで物件を探し、金融機関で住宅ローンを相談し、設計や施工の業者さんを探すのはかなり大変なことです。弊社では、中古マンション探しから設計、施工、インテリアの提案まで、リノベーションの工程をすべてワンストップサービスで行っています。

基本的なことをお伺いしますが、リフォームとリノベーションはどのように違うのでしょうか?

三浦)リフォームは古くなったキッチンを新しく交換するなど、新築当時の状態に原状回復するための部分的・表層的な改修ですが、リノベーションは間取りや素材の考え方から変えます。住む人がその人らしく生活できるように暮らしに合わせて変えていくのがリノベーションです。

また、家は見えているところより見えていないところが大事です。

古くなった給排水管を更新したり、断熱性能を高めたりすると、快適で長く安心して暮らせますし、結果として価値を高めることにつながります。

省エネ性能ラベルでZEH水準リノベーションの性能を見える化

省エネ性能ラベルでZEH水準リノベーションの性能を見える化

マンションのZEH水準リノベーションとはどのようなものなのでしょうか?

三浦)ZEHとは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略です。断熱・省エネと再エネ(太陽光発電等)で、エネルギー収支ゼロ以下を目指す家という意味です。

ZEH水準は創エネ設備を必須としない基準で、国は新築住宅の省エネ性能を2030年までにZEH水準に引き上げる方針です。中古住宅においては、約9割が現在の省エネ基準を満たしておらず、ZEH水準はさらに高い基準です。

リノベると積水化学工業が協業した案件では、マンションの一室をフルスケルトン状態にして給排水管や設備等を一新、積水化学の「マルリノ」による高断熱高気密化で、ZEH水準を実現しました。第三者認証制度であるBELS認証「ZEH Oriented」に適合し、一般社団法人リノベーション協議会が定める「R1住宅エコ」のツースターにも適合します。

省エネ性能ラベルとはどのようなものでしょうか?

三浦)省エネ性能ラベルは、建築物を販売・賃貸する事業者が物件の省エネ性能に関してラベル表示することを努力義務とする制度で、まずは新築を対象として2024年4月に始まりました。

ラベルには一次エネルギー消費性能、断熱性能、目安光熱費などが記載されるので、消費者は省エネ性能を確認して住宅を選ぶことができます。

中古住宅においても、省エネ性能が重視される時代がすぐそこまで来ています。ZEH水準にリノベーションすると費用はかかりますが、ラベルによって性能が見えるようになればお客様に関心を持っていただけます。第三者の評価を受け、国の制度に基づいた表示をすることで、お客様に新しい住宅選びの選択肢を提示することができると考えています。

リノベーションで中古住宅を再生しカーボンニュートラル社会への貢献を目指す

リノベーションを始めた背景には何があるのでしょうか?

吉村)20年くらい前は、日本では住宅は新築が当たり前でした。購入し、鍵を開けたとたんに中古になり、中古になると資産として評価されず、スクラップアンドビルドを繰り返していました。日本全国の空き家は2023年の時点で900万戸と、過去最多になっています。

アメリカでは住宅の資産額が投資額を上回りますが、日本では資産額が投資額を大きく下回り、差額が500兆円と言われています。

欧米では住宅に手をかければかけるほどストックとして評価されます。日本でも壊すより今ある中古住宅を活かして価値に変えていくことができればという想いがありました。

リノベーションと新築では環境への影響も違うのでしょうか?

吉村)環境へのアプローチは数値として結果を出しています。2023年12月に産学協同研究で実施した企業社宅一棟のリノベーションでは、建て替えとの比較でCO2排出量を75%、廃棄物排出量を96%削減しました。

また、ある総戸数76戸の賃貸マンションでは、省エネリノベーションの実施により、40年間のCO2排出量を5%約1000t削減する効果があると確認できました。
※賃貸レジデンス「コンフォリア高島平」で産学共同研究を実施 https://renoveru.co.jp/news/7543/

リノベーションの環境効果とプラットフォーム型のビジネスモデルが認められ、政府系ファンドの脱炭素化支援機構から出資いただいています。住宅・不動産・建設業界での出資第一号案件です。これからもリノベーションによってカーボンニュートラル社会の実現に寄与していきます。

リノベーションによるエンドユーザーのメリット

リノベーションによるエンドユーザーのメリット

リノベーションと新築の費用はどのように違うのでしょうか。

三浦)新築物件の価格は非常に高くなっていますが、築30~40年くらいの物件を買ってリノベーションすると新築のだいたい7~8割です。

ZEH水準リノベーションをすると、通常のリノベーションより300万円ぐらい追加で費用がかかりますが、約60㎡のとある物件で試算すると、電気代は3割くらい、月々7000円程度安くなりました。ちなみに住宅ローンで300万円を35年借りると、月の返済額は7000円程度ですので、費用は回収できますし、補助金やローン減税なども活用すると、回収時期は早まります。

省エネ性能ラベルの表示についてユーザーからの反応はいかがですか?

三浦)幅広い年齢層の方に関心を持っていただいています。お子様がいるファミリーやシニアの方など家の滞在時間が長い人、あとは単身かカップルでペットを飼っていてエアコンをずっとつけている方などです。

最近、光熱費が高いので省エネを意識している方が多くなっています。省エネというとエアコンや冷蔵庫など家電が思い浮かびますが、家そのものの断熱性能をよくすれば省エネになることは、あまり認知されていませんでした。

しかし、少しずつ断熱性能を高めることは、お財布にやさしく、かしこい選択だという認識が広がっていると思います。

ZEH水準リノベーションで住まいの価値を上げる

ZEH水準リノベーションで住まいの価値を上げる

今後リノベーションを広げていくにはどうしたらよいのでしょうか?

三浦)お客様は少しずつ断熱に関心を持ってくださっていますが、まだ断熱してあるから検討しようというところまでには至っていません。関心を持ってもらい、お財布にやさしいだけでなく、快適性も高まることをどう伝えていくかが課題です。

ZEH水準リノベーションを施した物件で、2月に室内外の気温を測ったところ、外気温が0度近い深夜・早朝の時間帯でも、室内の温度はエアコンなしで18度でした。天候によって外部は湿度もかわりますが、室内では湿度も一定でした。

まずは経済的にメリットがあることや内装のデザイン性で関心を持っていただき、省エネ性能ラベルで性能を確認していただき、実際に断熱の快適さを体感していただきたいと思います。

御社の今後の展望などはありますか?

三浦)2025年4月から新築住宅は省エネ基準への適合が義務化され、2030年までにすべての新築住宅でZEH水準の省エネルギー性能を確保することが求められています。

ZEHという言葉は少しずつ認知されてきています。これからは事業者だけでなく、メディア、不動産の売買にかかわる人たちみんながZEHの知識を持って、どのようにエンドユーザーに伝えていくかということが重要です。

弊社は性能がよい建物を増やし、日本の中古住宅の価値を上げていきます。リノベーションを推進することによって、循環型社会の実現とカーボンニュートラル社会の実現を目指してまいります。

終わりに

アップサイクルでは再生された製品の価値は高くなる

key point

  • リノベーションは、「建築」「不動産」「金融」と様々な分野にまたがるソリューションであるため、リノベる株式会社は社内外に専門部署やパートナーを持ち、3つのプラットフォームを構築している。
  • 産学協同研究によるとリノベーションは新築建替と比較し、CO2排出量を75%、廃棄物排出量を96%削減。省エネリノベーションの実施による効果は、とある物件の場合、40年間のCO2排出量を5%約1000t削減することがわかった。
  • 省エネリノベーションを施すことによって、中古住宅はお財布にやさしく、長く安心・快適に暮らせる住まいとなり、結果カーボンニュートラル社会の実現に寄与する。

いかがでしたでしょうか。

廃棄されるものに新たな価値を与えて再生することをアップサイクルといいます。

リサイクルは元の製品より価値が下がりますが、アップサイクルでは再生された製品の価値は高くなります。

リノベーションも、暮らしに合わせて間取りや設備を改修し、断熱を施すことによって、住宅としての価値が高くなります。

快適に、省エネでお得に生活できて、しかもカーボンニュートラルにも貢献できるなら、新築にこだわらず中古住宅のリノベーションも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

リノベる株式会社
https://renoveru.co.jp/

PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部

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