大相続時代到来!「ファイナンシャルウェルネス」実現に向けた資産運用とは
2025年には終戦直後の第一次ベビーブーム時に生まれた「団塊の世代」が75歳を超えます。
それは、近い将来、団塊の世代の方々が保有する資産が子孫に引き継がれていく「大相続時代」を迎えることを意味しています。
人生100年時代と言われるなかで、資産形成と円滑な相続や事業承継の課題に直面している方も多いのではないでしょうか。
株式会社キャピタル・アセット・プランニングは、1990年の設立以来、豊かな老後・円滑な相続・事業承継を実現することをパーパスとし、さまざまなソリューションを提供してきました。
今回は、株式会社キャピタル・アセット・プランニング代表取締役社長の北山雅一氏から人生100年時代を豊かに過ごす方法について資産運用という観点からお話をお伺いしています。
株式会社キャピタル・アセット・プランニング北山代表のインタビューは前編と後編の2回にわたってお送りしています。後編では、20代、30代に向けた資産形成のアドバイス、今後のインデックス運用の動向、最適な相続に関してご教授いただきました。
人生における目標「ゴールベースプランニング」を明確にすることが重要
起業できるかどうかは個人の能力、相続は環境に依拠しますから、3つのなかで最も可能性が高いのは資産運用と言えるでしょう。
ただ、いかなる選択をするにしても、職業や生き方から生成される「パーソナルビジネスポートフォリオ」と「金融ポートフォリオ」を合わせた人生における目標「ゴールベースプランニング」を明確にすることが重要です。
1990年にノーベル経済学賞を受賞した故ハリー・マーコウィッツが提唱しているように「人生の効用曲線」は人によって違います。
多様な価値観があるなかで、唯一変わらないものが定時定額の世界分散投資であると考えています。
私は生まれた時は家庭的には恵まれた家でしたが、大学生の頃、祖父が創業した会社が戦後2番目の巨大倒産劇に巻き込まれ、家屋敷を売却することになりました。
当時、父から「経営者になるな」と言われたこともあり、公認会計士になり中央青山監査法人に入所しました。
その後、大阪に戻り、父の数億円の借金を背負うことになりますが、監査法人で三和銀行、山一證券、山一投信委託を監査していた経験が現在のビジネスの基礎になっています。
起業して自分の会社を経営する場合、数十億円を手にすることもあれば、同額かそれ以上の借金を背負うこともあります。
いかなる選択をしても、世界分散投資など多様なリスクを保有する多くの銘柄から構成されるポートフォリオを持ち続けることが大切だと思います。
短期的な動向に一喜一憂しないで長期的に保有できるか?それが「資金運用」のポイント
世界的な金利上昇が予測されるなかで「インデックス運用」は冬の時代になると言われています。運用についてアドバイスはありますでしょうか?
一般的に日本人は、株式市場など全体的な値動きを示す指数に連動した「インデックス運用」をする人が多いのではないのではないでしょうか。
一方、米国では相対的に低いPERで取引されている「バリュー株」や時価総額1000億円未満の中小型株が株式市場の平均的パフォーマンスより良いという「中小型株効果」を信じる傾向にあるようです。
最近、米国FPの間では主として、割安銘柄や中小型銘柄に投資するディメンショナルファンドアドバイザーズ社(DFA)のミューチュアルファンドやETFが注目されています。
新NISAの「つみたて投資枠」で比較的リスクの低い商品を選択し「成長投資枠」で多少リスクが高くてもリターンも期待できるような商品の購入をおすすめします。
アクティブ運用は、成長性の見込まれる銘柄を厳選して投資するため、インデックス運用に比較して銘柄選択をするノウハウといつ売買するかというタイミングが必要になります。
世界最大の資産運用会社ブラックロックの創業者ラリー・フィンクは、同社がパッシブ投資のアセットマネジメント会社であるにもかかわらず「パーパスを持たない企業には投資しない」と言っています。
明確なパーパスかつ利益を生み出す企業を選別することが重要と言えるでしょう。
一般的に、日本人と比較してアメリカ人の方がお気に入りの商品やサービスを提供している企業を調査し株を保有する傾向があるように思います。
いずれにしても、個別銘柄の運用で成功するためには、短期的な動向に一喜一憂しないで長期的に保有することではないでしょうか。
例えば、私は2003年にあるIT企業の個別銘柄を購入したのですが、保有していたことをすっかり忘れてしまって、最近になって買値の12倍になっていることが分かりました。
どのタイミングで売るかを日々考えるのではなく、一定期間は保有することを前提にした方が結果的には成功すると思います。
次世代金融プラットフォームを最大限に活用して「人生の目標」を実現して欲しい。
個人的には、少子高齢化による人口減少などを考慮すると、日本全体の不動産価格は下がる可能性が高いと考えています。
ただ、投資家から集めた資金を主として不動産に投資するJ-REITなどを長期的に保有するのは良いと思います。
また、不動産の相続税評価額は不動産の時価よりも低く評価されるので、節税対策としての購入など目的に合わせた利用をおすすめします。
相続は全ての人が直面する問題ですが、大相続時代においてアドバイスをお願いできますでしょうか?
弊社が推奨する「ファイナンシャルウェルネス」は金融DXが進展する環境化における6つの課題の充実を目指します。
そのうちの一つである「生涯資金運用・管理」のみを考えるのではなく「円滑な財産分割」「納税準備」等についても準備を進める必要があるのではないでしょうか。
弊社ではソニー生命に向けて次世代型ライフプラン分析システム「GLiP」の受託開発を行い、お客さま一人ひとりのための資産形成から入院、介護、死亡保障にわたる最適なゴールベースプランニングをご提案するシステムを提供しています。
また、三菱UFJ銀行に対しては、弊社が開発した相続•財産評価計算ロジックを搭載した相続財産承継の統合プラットフォームシステムWealthCanvas を提供しています。
こういったシステムを活用して、退職後の基本生活費の確保 、旅行や趣味など豊かな老後のための支出の確保、相続発生時の相続税の納税に加えて、家族に残すお金など多様な投資目標を達成していただけたらと思います。
key point
- 「パーソナルビジネスポートフォリオ」と「金融ポートフォリオ」を合わせた人生における目標「ゴールベースプランニング」を明確にすることが重要である。
- 起業する場合には、数十億を手にすることもあれば、それ以上の借金を背負う可能性もあるので、生涯にわたってマイナス又は非常に低いリスクの金融ポートフォリオを持っておくと良い。
- 米国ではインデックス運用と共に相対的に低いPERで取引されている「バリュー株」や時価総額1000億円未満の「中小型株」の効果を信じる傾向にある。
- アクティブ運用では、成長性の見込まれる銘柄等に厳選して投資するため、インデックス運用に比較して技術とタイミングが必要になる。
- ブラックロックの創業者ラリー・フィンクは「パーパスを持たない企業には投資しない」と言っているように明確なパーパスかつ利益を生み出す企業への投資が求められる。
- 株式会社キャピタル・アセット・プランニングが提唱する「ファイナンシャルウェルネス」では、金融DXが進展する環境化における6つの課題の充実を目指している。
- 人生100年時代を豊かに過ごすためには「生涯資金運用・管理」のみを考えるのではなく「円滑な財産分割」「納税準備」等についても準備を進める必要がある。
いかがでしたでしょうか?
2022年に発表された厚生労働省の調査では、日本の平均寿命は男性が81.49歳、女性が87.60歳、全体の平均寿命は84.55歳でした。
その数値から相続人である子供の年齢を逆算すると、親から相続をする平均年齢は50歳前後と推測と推測されます。
人生100年時代を迎えるなかで相続を含めた「総合資産管理」は非常に重要です。
金融のDXが進むなかで、テクノロジーを駆使した個人向けの資産管理プラットフォームを活用して準備を進めてみてはいかがでしょうか。
intervieweeプロフィール
株式会社キャピタル・アセット・プランニング
代表取締役社長 北山雅一
1979年慶應義塾大学商学部卒業、大手監査法人にて銀行、証券会社、証券投資委託会社の監査に従事。90年株式会社キャピタル・アセット・プランニングを設立、代表取締役に就任。現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場。生命保険会社・銀行・証券会社向けのシステムコンサルティング事業をはじめとし、富裕層・マス富裕層をターゲットとした全体最適を目指した金融と不動産、税務の総合戦略の立案にも従事。事業承継、財産承継分野において豊富な実務経験を有する。公認会計士・税理士 ・CMA・日本証券アナリスト協会主催のプライベートバンカー試験の試験委員を務める。事業承継、財務承継の実務家。
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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