日本、中東と脱炭素で協力
岸田文雄首相は中東3カ国を歴訪し、各国との首脳会談でエネルギーや脱炭素などの分野で協力することを確認した。7月16日から18日、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールを訪問した。
岸田首相は7月18日、最後の訪問先であるカタールで記者会見を開き、日本の脱炭素技術を用いて、中東諸国に貢献する考えを示した。中東地域をクリーンエネルギーや重要鉱物の供給地とする展望を明らかにし、グリーントランスフォーメンション(GX)の推進に向けて協力することで一致した。特に、水素やアンモニアの製造、脱炭素技術の普及に向けて連携する。
UAEへの訪問では、シェイク・モハメッド・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン大統領と会談。両者はエネルギー安全保障と産業加速化の確立に関連する共同意図宣言と気候変動対策に関する共同声明にも署名した。2050年までに完全なカーボンニュートラルを目指す日本と、脱炭素を掲げるUAEの連携がさらに強化される見込みだ。
サウジアラビアのアブドラ国王石油研究研究センター(KAPSARC)は、日本と同国のネットゼロ目標達成に向け、日本エネルギー経済研究所と協定を締結した。サウジアラビアは2060年までに実質排出ゼロを目指している。KAPSARCのファハド・アルアジュラン会長は「両国にとってだけでなく、現在エネルギー不足に苦しむ30億人以上の世界人口にとっても極めて重要だ」と述べた。
中東の脱炭素に向け、日本による技術支援が期待される。岸田首相は「次なる50年を見据えた経済多角化と産業発展の実現のため、日本の力をぜひ活用していただきたい」と期待を込めた。
首相の中東歴訪は2020年以来
日本の指導者による中東歴訪は、2020年の安倍晋三元首相の訪問以来初めてとなる。岸田首相は2022年に中東3カ国を訪問する予定だったが、新型コロナウイルスの感染により中止となっていた。
今回の訪問の背景には、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー供給の懸念がある。サウジアラビア、UAE、カタールは日本の総原油輸入量の80%以上を占めており、増産による石油市場の安定を求める声も大きい。
今年後半にはUAEで国連気候変動会議(COP28)が開催されることから、水素発電への移行促進による温室効果ガス排出削減への協力も重要な議題となっている。
【関連リンク】
・岸田首相、中東3カ国歴訪の成果強調 脱炭素技術で連携強化へ(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/japan-kishida-idJPKBN2YY18M
・What to expect as Japan’s PM Kishida begins tour of Saudi Arabia, UAE and Qatar(ARAB NEWS)
https://www.arabnews.com/node/2338446/saudi-arabia
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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