生成AIで書いたKindle本に申告義務
米アマゾン・ドット・コムは9月7日、展開する電子書籍「Kindle(キンドル)」用の出版サービス「Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)」のガイドラインを更新すると発表した。生成AI(人工知能)を用いて執筆したコンテンツの申告を義務付ける。
生成AIは簡単な指示を入力するだけで、画像や文章、プログラムなどの多様なコンテンツを自動で作成できる。米新興のオープンAIが開発した対話型AI「Chat(チャット)GPT」を筆頭に、世界で活用が広がっている。
一方、情報漏洩や著作権侵害の観点からは懸念があった。「Kindle」上でもAIを用いたことを明記していない出版本が増えており、その信頼性を問題視する声が多かった。
新たなガイドラインでは、AIを用いたコンテンツを「AI生成コンテンツ」と「AIアシストコンテンツ」の2つに分類する。KDPを通して出版する際に申告の必要性を定めている。
「AI生成コンテンツ」とは、AIによって作成された文章や画像、翻訳を指す。これらのコンテンツをそのまま利用したものはもちろん、人間の手で編集したものも含まれる。出版物にAI生成コンテンツが含まれる場合、出版者はあらかじめAmazonにその旨を申告しなければならない。
「AIアシストコンテンツ」とは、文章や画像が筆者のオリジナルであり、編集、改良、エラーチェックなどに生成AIを利用したコンテンツだ。生成AIにアイディアを求め、それを参考に筆者が文章や画像を作成した場合も「AIアシストコンテンツ」に分類される。あくまで筆者の補助としてAIを利用しているため、申告は不要となる。
人間の作家を守るための新ルール
新たなガイドラインの導入は、全米作家協会がAmazonとの交渉を経て実現した。同協会は「アマゾンの新たな開示ポリシーを歓迎する」とコメントした。
こうした取り組みにより、人間の著作物とAIの作成物の混同を避け、出版物の透明性を確保することができ、人間の著作者を守ることにも繋がる。同協会は今後、他の出版社などに対しても交渉を続けるとしている。
【関連リンク】
・アマゾン「生成AIを使ったKindleセルフ出版」に申告義務(ASCII)
https://ascii.jp/elem/000/004/155/4155506/
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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