全柔連と筑波大の開発した分析システム「GOJIRA」 選手のより高いパフォーマンスを実現
全日本柔道連盟と筑波大学が開発した独自の分析システム「GOJIRA」は、トップアスリート達が極限まで磨き上げた肉体で、さらに高いパフォーマンスを実現するための最新テクノロジーだ。GOJIRAの名称はGold(金)、Judo(柔道)、Ippon(一本)、Revolution(革命)、Accordance(調和)の頭文字に由来する。
GOJIRAの運用は約10年前から始まった。全柔連の科学研究部のスタッフ15人があらゆる国際大会の試合映像から全ての得失点パターンを手入力でデータベース化。かき集めた5万件以上の映像から選手5000人分の情報を自動集計し、リポートを作成する。
実力や勝負勘だけに頼らず、ライバルの傾向を徹底的に分析する。6月下旬、パリ五輪の強化選手らが集う強化拠点の「味の素ナショナルトレーニングセンター」の情動上にもGIJIRAのデータが表示された大型モニターが設置されており、それを傍らに選手らは練習に励んでいた。モニターには対戦相手となる可能性がある選手の得意技や成功率などが表示される。
全柔連科学研究部の現場統括およびコーチング学の学士号をもつ山本幸紀氏は「これが、今の日本の柔道です」と語る。コーチや選手は「この選手は先手必勝型だから前半をしのごう」「投げ技よりも寝技に気をつけて」など、戦う相手に合わせたきめ細やかな戦略を事前に練ることができる。
筑波大のスーパーコンピューター「ペガサス」で競技映像を解析
筑波大学の計算科学研究センターではスーパーコンピューターで選手の動作を解析する技術を研究中だ。動作分析に活用されているスーパーコンピューター「ペガサス」は同大が提供。様々な競技映像を解析し、選手の動きを予測する技術の開発を進めている。
ペガサスは柔道以外での活用も期待される。例えばバドミントンではシャトルに対する選手の反応速度や動き方などを推定する。サッカーでは、試合中の選手の追尾データに基づき、効果的なフォーメーションを分析。心拍数などの生体情報も合わせて解析することで、目視では認識することの難しい選手のクセをあぶり出し、より効果的な戦略を立てることができるかもしれない。
【関連リンク】
・柔道日本代表の秘密兵器「GOJIRA」…5万件以上の映像分析、相手選手や審判も丸裸(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2024/20240720-OYT1T50044/
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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