ポケトーク、5年ぶりの新機種「ポケトークS2」発売
ポケトーク株式会社は10月17日、AI通訳機「ポケトーク」シリーズの約5年ぶりとなる新機種「ポケトークS2」を発売した。新機種は「よりスムーズなコミュニケーション」「より安心して使える」を目指した次世代機として位置づけられている。
新機種の特徴は、双方向自動翻訳機能を搭載し、あらかじめ選んだ2つの言語のうち、どちらの言語を話したかを自動で判別して翻訳する点だ。74言語を音声・テキストに翻訳し、11言語をテキストのみに翻訳可能。従来機種に比べ、通信可能な国と地域が約30カ所増え、世界170以上の国と地域で利用できるようになった。
セキュリティ面では、端末の一括管理ができる「ポケトークアナリティクス」との連携を強化。翻訳した個人情報や機密情報といった会話の履歴を保護することが可能となり、個人だけでなく、企業や団体、自治体での導入のハードルを下げている。価格は税込3万6300円。新CMには俳優の大泉洋を起用し、11月1日からテレビ放映を開始する。
アメリカ市場で急成長
ポケトークの事業成長を牽引しているのがアメリカ市場での展開だ。2023年4-6月期の売上高は約2億4200万円から2024年7-9月期には約6億4700万円へと、前期比2.5倍を達成。教育分野での導入が特に顕著で、全米約1万4000学区のうち約700学区に導入済み。各学区で1000〜5000台という大規模な導入が進んでおり、教育現場での活用が加速している。
さらに、病院や物流センター、行政機関など、外国語対応が必要な現場でも続々と採用が決まっている。ポケトークアメリカ法人は2024年2月に単月黒字化を達成し、9月時点で営業利益率17.8%を記録するなど、順調な業績を示している。
さらに、松竹株式会社から3億円の資金調達を実施。この資金を活用し、歌舞伎鑑賞の多言語対応と東銀座エリアの活性化を目指す。すでに2024年9月には、複合施設「GINZA KABUKIZA」内のショップ・飲食店・案内所などにAI通訳機「ポケトーク」を導入している。
近年のAI技術の発展により自動翻訳の精度が大幅に向上する中、ポケトークは専用端末市場という比較的競合の少ない領域で独自のポジションを確立。ハードウェアの開発・製造には多くの資本と技術が必要で、これが新規参入の障壁となっている点も、同社の強みとなっている。
【関連リンク】
・AI翻訳「ポケトーク」アメリカ市場を席巻の原動力(東洋経済)
https://toyokeizai.net/articles/-/833955?display=b
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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