画像生成AIからイラストを保護する「emamori」が、わずか1年でサービス終了
SnackTime株式会社は、イラストのAI学習対策を目的としたWebサービス「emamori」を2025年1月18日に終了すると発表した。同サービスは、クリエイターが自らのイラストをAIの無断学習から守るためのツールとして注目を集めていた。2023年8月にベータ版がリリースされ、翌年1月に正式サービスが始まったが、事業継続の壁は高かった。
「emamori」は、画像に特殊な電子透かしやノイズを加えることでAIの学習を妨害する仕組みを採用していた。特に無料版の「Mist v1」は手軽さから多くのクリエイターに利用されたが、GPUを用いた処理の負荷により、サーバー運用コストが膨大なものとなった。さらに、運営側は開発費や人件費を含まないランニングコストだけでも赤字を抱え、ビジネスモデルの見直しが迫られていた。
正式版公開後には、一部機能を有料化し事業の安定化を目指したが、収益性の確保は難航。結果として、サービス終了が決定された。利用者には終了までのスケジュールが案内されており、無料版機能は2025年1月11日に先行して停止する。終了後、サービスに保存されたデータはすべて削除されると発表されている。
今後、再挑戦に言及
「emamori」は、画像生成AIの普及が引き起こす著作権侵害リスクに対する実践的な防御策の一つだった。クリエイターの間では、他人の作品が無断でAI学習に利用される懸念が高まっており、その対策ツールとして評価されていた。
しかし、同サービスは利用の容易さと技術的な先進性を備えながらも、持続可能な運営体制を築くには至らなかった。背景には、クリエイターのニーズと運営コストのバランスを取る難しさがある。たとえ技術が優れていても、コスト負担が利用者や提供企業に偏る状況では長期的なサービス提供は難しいことが明らかになった。SnackTime社はサービス終了の際、「将来的に関連技術で再挑戦する」と言及している。
【関連リンク】
・無断のAI学習からイラストを保護する「emamori」がサービス終了へ(窓の杜)
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/1649809.html
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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