ワンピースやスパイファミリー、集英社の漫画を生成AIで翻訳
集英社はスタートアップと手を組み、「ONE PIECE(ワンピース)」や「SPY× FAMILY(スパイファミリー)」などの人気漫画を多言語で配信する。米新興のオープンAIが開発した対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を活用してセリフを翻訳する。
協力するのは、漫画のセリフを翻訳するAIサービスを提供するMantra(マントラ、東京都港区)。8月16日から集英社の漫画の多言語配信を支援している。すでにベトナム語での配信を開始しており、フランス語など他の言語にも広げる見込みだ。
新サービス「Mantra Engine」はAI翻訳とプロの翻訳者の技術を組み合わせて開発された。AI特有の誤りをプロが校正することで、より高品質な翻訳を実現しているという。漫画のキャラクターやストーリーに合わせて言い回しを調整することが可能で、翻訳作業の時間は従来の4分の1程度に短縮できるという。
新サービスは漫画を複数の言語で同時に配信する「サイマル配信」を支援する。世界各国のファンが同時に最新話を楽しむことができ、海賊版の対策にもなる。今後は年間数億円規模の売り上げを目指す。
サイマル配信の壁をAIで解決
サイマル配信を実現するには、翻訳作業を短期間で行わなければならない。漫画の翻訳版の制作は翻訳の他にも、校閲やデザインなど様々な作業が必要となる。
「Mantra Engine」を利用すれば、異なるソフトウェアを用いた作業を同時並行で進めることができる。そのため、翻訳作業の一元化に加え、AIを用いた翻訳サービスを統合することで作業時間の大幅な短縮が可能となった。
代表取締役の石渡祥之佑氏は、翻訳版の制作にはコストがかかるため、あらかじめヒットが見込める作品でなければ配信が難しかったと指摘する。「スピードやコストの問題は機械翻訳と相性が良い」とし、漫画以外の領域での活用にも期待を寄せる。
【関連リンク】
・Mantra、ChatGPTで漫画翻訳 集英社に採用(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC032KZ0T00C23A8000000/
【関連記事】
- 生成AIで漫画「ブラック・ジャック」の新ストーリーを制作
- 商用利用可能な画像生成AI「Emi」を無償で公開。得意とするのはアニメや漫画のイラスト。
- 話題のChatGPTが利用できる「AIチャットくん」、提供開始から1ヶ月で登録者100万人突破。
- メルセデス・ベンツ、ChatGPTを試験搭載。はじめは90万台に導入。
- 「ChatGPT」にAIとユーザーのやり取りを保存しない新機能が追加。
- 「ChatGPT」、インターネットへのアクセスが可能に。最新の情報を提供。
- 米オープンAIのCEO、AI規制求める
- 生成AIが作成した文章を見破るツール開発
- 個人情報の収集をめぐり利用者がオープンAIを提訴
- 高解像度でディテールまで再現!OpenAIのDALL-E 3が画像生成に進化
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
この記事を気にいったらいいね!しよう
PreBellの最新の話題をお届けします。