GoogleのAI、薬剤耐性菌の問題に挑む ニュース

GoogleのAI、薬剤耐性菌の問題に挑む

細菌の薬剤耐性は、世界中で深刻な公衆衛生上の問題となっている。抗生物質の乱用や不適切な使用が、細菌に耐性を持たせる要因の一つとされている。ワシントン大学の研究チームは、2050年までに薬剤耐性菌が原因で3900万人以上が死亡する可能性があると試算しており、早急な対策が求められている。

この問題の一環として、イギリスICLのホセ・ペナデス教授が率いる研究チームは、細菌の薬剤耐性に関わる「cf-PICIs(カプシド形成ファージ誘導性染色体島)」に注目した。cf-PICIsは、細菌に感染するウイルス(ファージ)の一種であり、異なる細菌種に広がることで耐性遺伝子を拡散させる可能性がある。このメカニズムを解明するために、研究チームは10年にわたり調査を続けてきた。

そんな中、Googleが開発したAIアシスタント「AI co-scientist」が、この問題に取り組むことになった。このAIは、科学研究に特化しており、既存の知識を活用して仮説を立てることができる。ペナデス教授らのチームは、cf-PICIsの感染メカニズムについて、AI co-scientistがどのような結論を導き出すのかを検証することにした。

AIが導き出した答え

研究チームは、AI co-scientistに対してcf-PICIsに関する基本的な情報や関連論文を提供したが、最新の研究結果については伝えなかった。その結果、AIはわずか2日間で、ペナデス教授らが10年間の研究で導き出した結論と同じ仮説にたどり着いた。cf-PICIsが一般的なファージの「尾部」を持たないこと、別のファージの尾部と相互作用することで細菌に感染する仕組みなど、研究チームの発見と一致する結果を提示した。

この成果は、AIが科学研究を補助する役割を果たすことを示している。Googleは、AI co-scientistを「科学者の協力者」と位置づけており、単なるデータ解析ツールではなく、研究者と対話しながら新たな仮説を立てることを目指している。実際、専門家による評価では、AI co-scientistが提案する仮説の独自性や影響力が高く評価されている。Googleは、このAIの活用範囲を広げるため、各国の研究機関にテストプログラムへの参加を呼びかけている。

【関連リンク】
・科学者が10年かけてたどり着いた研究結果にGoogleの科学者向けAIアシスタントがわずか2日で到達(Gigazine)
https://gigazine.net/news/20250317-googles-ai-cracked-superbug-problem/

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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