LLM(大規模言語モデル)とは?仕組みから応用例まで解説
かつて、コンピューターが人間の言葉を理解し会話を行うことはSFの世界の話でした。
しかし、現在では「LLM(大規模言語モデル)」の進化により、それが私たちの日常の身近な技術となりました。
ChatGPTのように、人間らしい対話を実現するLLMは、単なるプログラムを超えた存在感を放っています。
しかし、LLMは実際にどのように機能しているのでしょうか?
この記事では、LLMの仕組みから具体的な応用例まで、その魅力について解説します。
目次
LLMはLarge language Modelsの略で、日本語では大規模言語モデルと言います。
これは、コンピューターが大量のテキストを読み解き、人間の言語を理解し、新しい文章を生成するための有用なプログラムです。
コンピューターは大量のテキストを読むことで、次にどのような言葉が来るかを予測し、どの言葉がどの文脈で使用されるかを学びます。
この学習過程に教師はおらず、コンピューター自身が自己学習しています。
まず、文章の構造を理解するために、LLMは「トランスフォーマー」という文章中の重要な情報を見つけ出す手法を使用します。
これは文章中の各部分の関連性をコンピューターに教えるための手法で、2017年の論文「Attention Is All You Need」で初めて紹介されました。
初期の学習では多くの文章を読み込み、一般的な知識を身につけます。
しかし、特定のタスクを遂行するためには、そのタスクに関連するより小さなデータセットで「ファインチューニング」と呼ばれる追加のトレーニングが必要です。
これには「教師なし学習」、「教師あり学習」の方法が使用され、コンピューターは自己学習を通じて文章からルールを見つけ出し、知識を深めていきます。(例えば医療や法律に関する専門的な文章を学ぶことを指します。)
トランスフォーマーには「エンコーダー」と「デコーダー」の部分があり、エンコーダーは入力情報を整理し、デコーダーはその情報を元に新しい文章を生成または予測します。
コンピューターにとって、トランスフォーマーはまさに脳のような存在です。
LLMは一般的に、4つのタイプに分けられます。
- 言語表現モデル
- ゼロショットモデル
- マルチモーダルモデル
- ファインチューニングモデル
これらのモデルについて解説します。
多くのNLP(自然言語処理)アプリケーションは、言語表現モデル(LRM)を元に設計されています。
これらのモデルは大量のテキストデータで訓練され、特定のタスク、例えばテキスト分類や言語生成にファインチューニングすることができます。
ゼロショットモデルは特定の訓練データが無くてもタスクをこなせる特性があります。
未見のタスクに対しても一般化して予測やテキスト生成が可能で、色や形状などの細かい特徴を学習することで、学習していない未知の物体の種別を識別する能力を持っています。
マルチモーダルモデルはテキストデータと画像データの両方で動作します。
このモデルは異なる形式のコンテンツを理解し生成するように設計されているため、画像のキャプション作成やテキストベースの画像検索などに利用できます。
前訓練された言語表現モデルは汎用的に使えますが、特定のタスクや分野で最適なパフォーマンスを発揮するとは限りません。
ファインチューニングされたモデルは特定の分野のデータで追加訓練を受け、その分野でのパフォーマンスを向上させます。
例えば、GPTモデルを医療データでファインチューニングすることで、特化した医療チャットボットの開発や医療診断の支援が可能になります。
現在、広く認知されている主要なLLMは次の通りです。
言語モデル名 | 企業名 | パラメーター数 | 発表年 |
GPT-4 | OpneAI | 非公表 | 2023年3月15日 |
LLaMA2 | Meta | 700億 | 2023年7月18日 |
Gemini | 1.56兆個 | 2023年12月6日 |
GPT-4は、人間の言葉を解釈し、新しい文章を作成したり、質問に答えたりするプログラムです。
このプログラムはトランスフォーマーを用いた自然言語処理を採用し、教師無しで学習を行います。
さらに、人間からのフィードバックを受け取り、強化学習(RLHF)により進化します。
これにより、文章作成、翻訳、プログラミング、質問応答などの機能が向上し、幅広いタスクに対して高い汎用性を発揮します。
Meta社が開発したLlama2は、GoogleのGeminiと比較するとパラメータが非常に少なく、軽量化が図られています。
また、ユーザーが自身の環境にダウンロードして使用できるため、使用したデータが外部に学習される心配がなく、個人情報や機密情報の取り扱いにおいても安全に利用することができます。
特定のタスクや目的に合わせてモデルをカスタマイズすることが可能なファインチューニングがLlama2には備わっています。
Geminiは、Google DeepMindによって開発されたマルチモーダルであり、LaMDAおよびPaLM2の後継モデルです。
Gemini Ultra、Gemini Pro、Gemini Nanoから成るこのモデルは、OpenAIのGPT-4の競争相手として位置づけられています。
業界ベンチマークでは、Gemini UltraはGPT-4やLLaMA2の指標を上回っています。
LLM の応用には次のようなものがあります。
- テキスト生成
- 質問応答
- 翻訳
- 要約
- チャットボット
- コード生成
- 感情分析
- 自動編集
- ゲーム開発
- 教育
これらはほんの一例で、LLMの用途は非常に広範にわたり、新しい応用が日々開発されています。
本記事では、LLM(大規模言語モデル)について解説しました。
LLMは大量のテキストデータを解析し、新しい文章を生成するプログラムで、自己学習が可能です。
文章構造の理解にはトランスフォーマー手法を使用し、教師なし学習や教師あり学習で知識を深めます。
また、4つのタイプが存在し、各モデルは特定のタスクに最適化されています。
今ではGPT-4、LLaMA2、Geminiなどの高性能なモデルが開発され、テキスト生成から翻訳、要約、チャットボット、コード生成などに利用されています。
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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