2024.08.30 CriticGPTとは？ChatGPTのミスを発見し修正する最新AIについて解説

CriticGPTは、「GPT-4」をベースとするモデルで、ChatGPTが出力するコードの誤りを発見できるという。

OpenAIは「ChatGPTが生成したコードの人によるレビューにおいて、CriticGPTを使えば、使用しない場合よりも60％の確率でパフォーマンスが向上すると判明した。OpenAIはCriticGPTのようなモデルを私たちのRLHF（Reinforcement Learning from Human Feedback：人間のフィードバックによる強化学習）パイプラインに統合する作業を開始した。これは、AIの学習にAIのサポートを提供することを意味する」と述べている。

2024年6月27日、OpenAIは「ChatGPT」による応答の誤りを発見し修正する新たなAIツール「CriticGPT」を発表しました。これにより、ChatGPTが生成するコードの誤りを60％の確率で改善できることが確認されています。

今回はそんなCriticGPTについての発表内容を踏まえて、CriticGPTの可能性について開設します。AIを利用することで作業の生産性が上がった方は少なくありませんが、それと同時にAIのハルシネーション（嘘の情報）に迷惑していた方もいたことでしょう。

CriticGPTはそんなハルシネーションを激減させる可能性があり、我々の生活、特にプログラミング作業の効率化に大きく寄与すると考えられます。

ぜひ本記事を読んで、CriticGPTについて理解を深めていただければ幸いです。

CriticGPTは、ChatGPT内で利用できるようになるAIの間違いを判定するAIツールです。ここでは、そのベースとなる「ChatGPT」についておさらいします。

ChatGPTは、OpenAIが開発した対話型の生成AIです。利用者と自然な会話を行うなかで、相手の質問に答えたり、情報を提供したり、アイデアを生成することができます。人間が話すような自然言語で対話ができることでAIが一般層にも利用されるようになったため、ChatGPTは社会におけるAIのハードルを一気に下げたとも言えるでしょう。

主な機能には、文章の要約、翻訳、アイデア出し、プログラミングコードの生成や修正などがあります。ただし、ChatGPTもまだまだ発展途上のサービスで、たまに不正確な情報を提供することもあるため、情報を精査する力が必要になります。

しかし、OpenAI社が今回発表した「CriticGPT」はそのようなAIのミスをAIが判定して修正してくれるため、より制度の高い回答がChatGPTから返ってくることが期待できます。次に、CriticGPTについて解説します。

CriticGPTは、OpenAIが開発したAIモデルで、ChatGPTが生成したプログラムコードなどのエラーを検出し、それを修正します。前述した通り、ChatGPTに限らず、どのAIも間違った答え（ハルシネーション）をすることが時々あり、その情報を精査する能力が人間には求められてきました。しかし、CriticGPTを利用することでその情報の正確性すらもAIが判定してくれるため、より効率的に情報を収集できるでしょう。もちろん、CriticGPTを使用したからと言って、情報がすべて正しくなるということはないと思います。しかし、AIの進化のスピードには常に驚かされます。

まだ一般ユーザーへのリリースは解禁されていないCriticGPTですが、OpenAI社の発表内容をもとに、その特徴を開設します。

ひとつずつ見ていきましょう。

CriticGPTは、人間のエンジニアよりも高い精度でコードのバグを発見し、フィードバックを提供してくれます。ChatGPTを利用することでコーディングのたたき（下書きのようなもの）を瞬時に作成してくれていましたが、CriticGPTがリリースされれば、その正確性もアップすることでしょう。

ハルシネーションとは、AIが事実に基づかない情報を生成する現象のことです。日常的にChatGPTに触れている人は感じたことがあるかもしれませんが、AIはたまに”真実っぽい嘘”を出力してしまうことがあります。そのようなミスを人間側が察知しないと、間違った情報をインプットしてしまうため、AIを使用する際の注意点でもあるのです。

しかし、CriticGPTを使用することで、ChatGPTが生成するコードの誤りを60%向上させると報告されています。研究対象のChatGPTの回答は比較的短いものが多いのですが、それでもこの精度は驚異的です。より煩雑なコードの修正にも対応できるように、CriticGPTを進化させていくことも発表されており、リリース前から世界中のエンジニアに注目されています。

以上の理由から、AIを使ったコーディング作業の効率が大幅に向上することが予想されます。現在でもChatGPTを使って大枠のコードを瞬時に出力してもらい、それを修正するという形で仕事にAIを組み込むエンジニアは多くいるのが現状です。

CriticGPTが導入されれば、AIがさらに正確にバグを発見できるようになるため、修正作業にかかる時間が大幅に短縮されるでしょう。もちろん、全てのハルシネーションをなくすことはできないため、エンジニアのスキルが不要になることはありません。

しかし、今後は「AIを使いこなせるエンジニア」の市場価値がどんどん上がると考えられます。AIを敵とみなさず、良きパートナーとして、仕事にも日常生活にも活用していきましょう。

今回は、OpenAIが2024年6月に発表した最新AI「CriticGPT」について解説しました。

7月現在ではまだ一般ユーザーへの利用は解禁されていませんが、CriticGPTはプログラミング界に大きな影響を及ぼすことは容易に想像できます。

AIの利用については賛否両論ありますが、「AIが得意なこと」と「人間が得意なこと」には違いがあるので、両者の強みが最大限発揮できるような環境を作り、作業を効率化することは生産性アップに繋がるはずです。

AIの使用に抵抗感がある方も、少しずつ簡単なリサーチなどからAIに触れてみて、AIを使いこなせる人材になりましょう。

TEXT：PreBell編集部
PHOTO：iStock