「働く世代に豊かさを」ロボアドバイザー最大手ウェルスナビの挑戦
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2023.10.31 「働く世代に豊かさを」ロボアドバイザー最大手ウェルスナビの挑戦

「人生100年時代」と言われるように、生き方や働き方が多様になり、それぞれのライフプランにあわせた資産形成が重要な時代になりました。

岸田政権においても、令和5年を「資産所得倍増元年」とし「貯蓄から投資へ」のシフトを大胆かつ抜本的に進めようとしています。さらに、来年からはNISA(少額投資非課税制度)も大幅に拡充・恒久化されます。しかし、いざ投資を始めようとしても、知識や経験がないために、不安を抱えておられる方も多いのではないでしょうか。

今回は、ウェルスナビ株式会社 執行役員の牛山史朗氏から、ロボアドバイザーによる自動投資のシステムや現代社会における投資の重要性、資産運用のポイントなどについてお伺いしています。

ー御社はロボアドバイザー最大手とお伺いしていますが、具体的にはどのようなサービスを提供しているのですか?

具体的にどのようなサービスを提供しているのですか?

牛山氏

弊社では、スマホやPCから、自動でおまかせの資産運用を行うロボアドバイザーサービスで、お客さまの資産形成をサポートしています。

政府は、従来の預貯金中心の「貯蓄」から「投資」へと個人の資産形成を後押しする施策を進めていますが、投資の知識や経験がなく不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

当社では、忙しく働く世代が自分のペースで「長期・積立・分散」の資産運用に取り組めるサービスを提供しています。

金融商品の購入からメンテナンスまで、従来の資産運用で必要だったステップをすべて自動化しています。始め方も簡単で、5つの質問に答えるだけで、最適な運用プランを提案し、すぐに資産運用を開始できます。

長期的な投資で将来の不安を払拭し、自由と選択肢を手に入れる。

長期的な投資で将来の不安を払拭し、自由と選択肢を手に入れる。

ー物価上昇や政府の後押しもあり、多くの人が資産運用に興味を持つようになったと思います。お金に対する価値観も変化しているのでしょうか?

牛山氏

かつての日本では終身雇用が当たり前で、老後の生活もある程度保障されていたので、資産運用に真剣に向き合う機会はそれほどありませんでした。

しかし、今の日本では、退職金に頼れないだけでなく、少子高齢化に歯止めがかからず、将来の年金への不安も高まっています。

こういった背景から、人生のトータルでお金をどれくらい稼ぐのか、また、いかに資産形成をするのかを真剣に考えなければいけない時代になったのではないでしょうか。

ー最近は、早期に仕事を辞め投資による利益で生活をする「FIRE」を目指す方も増えています。お金と幸せについてどのようにお考えですか?

牛山氏

お金があればそれだけで幸せとは言い切れないと思います。

仮に、働かなくても問題ない経済状況であったとしても、仕事を継続される方はたくさんおられます。

何に幸せを感じるかは人それぞれ違いますが、お金は自由や選択肢を増やす手段であることを忘れてはいけないでしょう。

人間は投資に向いていない?心理的弱点をカバーするロボアドバイザー

人間は投資に向いていない?心理的弱点をカバーするロボアドバイザー

ー本来、人間の脳は投資には向いていないとお伺いしましたが、理由はあるのでしょうか?

牛山氏

経済学と心理学を合わせた「行動経済学」の研究では、1万円の利益を得るよりも、1万円の損をするほうが倍以上も大きく感情が揺さぶられると言われています。

安く買って高く売れば利益が出ると分かっていても、実際には買った直後に株価が下がると「このまま運用を続けて大丈夫だろうか」と不安になるのではないでしょうか。

そういった人間の心理的な影響を避けて、アルゴリズムによって淡々と運用するのが「ロボアドバイザー」です。

ー投資で儲かる人とそうでない人の決定的な違いはありますか?

実際に運用されているお客様の行動を見ている中で、淡々と続ける方のほうが、「タイミングをみて出金する」などの行動をする方よりも運用実績が良い傾向にあります。

投資の世界では、メジャーリーガーのようなプロの選手、草野球の素人まで、全員が同じグラウンドで戦っている状態です。

仕事や家庭に忙しい中、投資に詳しくない方も情報収集をしつつ、プロと同じ場所で取引をすることになります。ロボアドバイザーのようなプロに任せるのもひとつの選択肢ではないでしょうか。

企業の将来性を見据えながら利益を追求する「投資」こそ真の豊かさを育む

企業の将来性を見据えながら利益を追求する「投資」こそ真の豊かさを育む

ー長期的な資産形成をするうえで重視することはありますか?

牛山氏

投資と投機、そしてギャンブルを区別して、それぞれ理解する必要があるでしょう。

競馬や宝くじなど「ギャンブル」は、いろんな人がお金を出し合い、運営に使うお金を引いた一部が還元されます。そうなると、トータルで出した額よりも受け取る額が少なくなってしまいます。

また、仮想通貨やFXといった値動きの大きい商品に短期的にお金を投じ、相場変動から利益獲得を目指す「投機」は、予想の当たりはずれで結果が大きく分かれます。

大きな利益が得られる人がいれば、その裏側では大きな損失を被る人もいます。

一方、「投資」は投資をする側も、投資をされる側も、みんなで豊かになることが可能な仕組みです。投資したお金がビジネスに利用されて新たな価値を生み出し、それが投資した側にも還元され、全体として豊かになっていくことを目指すものです。お金を投じようとしているものが「投資」にあたるものか、確認することが大切です。

ーウェルスナビのお客様は、平均でどれくらいの金額を運用されているのでしょうか?

ーウェルスナビのお客様は、平均でどれくらいの金額を運用されているのでしょうか?

牛山氏

一人当たりの預かり資産は、全運用者の平均で240万円(※)です。当社の「おまかせNISA」を使っている運用者の平均は387万円(※)です。なお、当社のお客様の多くは20~50代の働く世代です。(※2023年6月末時点)

NISAは、投資で得た利益に税金がかからないお得な制度です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAで投資をすると非課税になります。

さらに、来年1月からはNISAが拡充されます。生涯で使える非課税枠は1,800万円に拡充され、期間的な制限もなくなります。これにより、いつでも、いつまでも自分のペースでNISAを使えるようになります。

当社も新しいNISAに全面的に対応していきます。NISAで資産形成をしていきたいと考えている方の選択肢の一つになれればと考えています。

ー若いうちの自己投資は、証券投資のような投資よりもリターンが大きいと言われているようです。自己投資についてどのようにお考えですか?

牛山氏

自己投資で身につけたスキルは収入の上昇につながり、その後の人生での資産形成において、元手という意味で影響を与えます。自己投資のリターンは若ければ若いほど大きくなると考えられます。

一方で、資産運用の経験も自己投資の一つだと考えられます。可能な限り早い時期に、少額からでも構いませんから投資の経験を積むことが重要です。

退職金で初めて資産運用を行う方も多いと思いますが、知識も経験もない状態で、何千万円という資金を運用するのはリスクが大きいと言えます。現役のうちに経験できると良いでしょう。

「世界経済に投資する」仕事や趣味に忙しい人こそ一歩を踏み出して欲しい

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ーこれから投資を始める方や初心者の方に年代別のアドバイスなどはありますか?

牛山氏

人生においてお金を稼ぐ時期と使う時期にずれがあるので、働ける時期には将来に向けた資産形成をしましょう。

ライフステージの変化に応じて、資産運用の中身を変えていくことを大切にしてほしいです。収入があり、リスクの取れる現役世代と、老後が近づき、リスクを抑えたい世代に分けて考えます。

現役世代のうちは株式中心でリターンを狙い、老後が近づくにつれて、リスクが抑えられる債券の比率を高めていくことが望ましいです。

当社では、「年齢」「年収」「金融資産」のほか、「投資の目的」「急落時にどう対応するか」の5つの質問から、リスク許容度を算出しています。年齢や目的に合わせて、リスク許容度を変更することで、資産配分の比率を見直すこともできます。

ーロボアドバイザー最大手として業界を牽引してこられた御社ですが将来の展望などはありますか?

私達は「働く世代に豊かさを」というミッションのもとで、働く世代の豊かな老後に向けた資産形成をサポートしてきました。

ただし、前にもお話したように、お金は人生の選択肢を広げるもので、それ自体が目的ではありません。より多くの方がお金の悩みから解放され、その方だけができる仕事や人間関係に時間を費やしていただきたいと考えています。

個人のお金の悩みは資産運用だけではありません。総合的にアドバイスを提供し、一人ひとりのお金の悩みを解決していく個人向け金融プラットフォームの構築を目指していきたいと考えています。

終わりに

牛山史朗氏

KeyPoint

  • ウェルスナビ株式会社では、アルゴリズムを活用した資産運用がおまかせでできるロボアドバイザーサービスを提供している。
  • 「行動経済学」によれば、感情に左右される人間の脳は、時に非合理的な行動をしてしまうため、投資に向いていない。
  • 長期的な資産形成を目指すのであれば、投資と投機、ギャンブルの違いを理解し、投資する側とされる側の両方の豊かさを実現する投資を行うのが望ましい。
  • 投資のスキルも自己投資と捉えて、若い頃から投資の体験を積むことが人生における資産形成に良い影響を与える。

いかがでしたでしょうか?

『21世紀の資本』で注目を集めたフランスの経済学者トマ・ピケティは、資本により得られる富は、労働によって得られる富よりも成長が早いと指摘してきました。

また、岸田政権では、令和5年を「資産所得倍増元年」とし「貯蓄から投資へ」のシフトを大胆かつ抜本的に進めようとしています。

少額から始められるロボアドバイザーを利用して、長期投資の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

intervieweeプロフィール

牛山 史朗(Fumiaki Ushiyama)

ウェルスナビ株式会社 執行役員 リサーチ&クオンツ

最先端の金融工学の恩恵を誰でも享受できるようにしたいという想いから、2015年12月にウェルスナビに参画。WealthNaviの提供するウェルス・マネジメントの核(コア)となる、中立的で客観的な金融アルゴリズムの開発をリードしている。ウェルスナビ参画以前には、三菱UFJ信託銀行で個人向けの資産運用アドバイスなどを担当した後、野村證券にてグローバルな投資戦略の開発などを行う。京都大学大学院情報学研究科で金融工学を専攻。

PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部

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