建設DXサービス「CONSAIT」はPLTとゼネコン21社の共創スキームで生まれた みんなのインターネット

建設DXサービス「CONSAIT」はPLTとゼネコン21社の共創スキームで生まれた

2024年4月、建設業界でも時間外労働の上限規制が始まりました。

ICTを活用した生産性の向上や、働き方改革の推進などの対策は取られているようですが、必ずしも効果が上がっているとはいえないようです。

特に働き手の高齢化と若手の不足は依然として深刻です。

このような状況の中で、プライム ライフ テクノロジーズ株式会社は、建設DXサービス「CONSAIT(コンサイト)」を提供しています。

今回は、プライム ライフ テクノロジーズ株式会社 建設ソリューション事業統括部 CONSAIT事業推進室 室長の塚本政介様より「CONSAIT」についてお話をお伺いしています。

建設DXサービス「CONSAIT(コンサイト)」とは?

建設DXサービス「CONSAIT(コンサイト)」とは?

御社の業務内容について教えていただけますでしょうか?

プライム ライフ テクノロジーズ株式会社は、パナソニック、トヨタ自動車、三井物産の三社が出資して2020年1月に設立されました。

未来志向のまちづくりを目指す会社として、住まいやまちづくりに関わる様々な事業やソリューションを提供しています。

弊社が提供する建設DXサービス「CONSAIT」は、AIを活用した建設現場向けサービスです。建設現場ごとの情報を一元管理し、作業の効率化で生産性を高め、現場で働くすべての人が快適な環境で創造に集中できる未来を目指しています。

「CONSAIT」とはどのようなものなのでしょうか?

「CONSAIT」は、Construction(建設)×AI(人工知能)×IT(情報技術)の融合をめざして生まれました。「CONSAIT」は「CONSAIT Basic」「CONSAIT Pro配筋検査」「CONSAIT Eye」の3つで構成されています。

「CONSAIT Basic」は基本となるアプリで、建設現場の記録業務や検査に役立つ機能を直感的に使いやすくまとめています。機能は電子小黒板、写真撮影、是正管理、図面管理、報告書作成といった使用頻度の高いものに絞っています。

検査品質の向上と効率化をアシストするサービスの第一弾として提供しているのが「CONSAIT Pro配筋検査」です。「CONSAIT Eye」は、AI技術を活用して配筋の立体検知ができる3眼カメラです。

「CONSAIT」がもたらす検査の高品質化と作業の効率化

「CONSAIT」がもたらす検査の高品質化と作業の効率化

「CONSAIT」での配筋検査はどのように行うのでしょうか?

配筋検査は、設計情報を見ながら実際に組まれた鉄筋が正しいピッチで配置されているか、正しい本数が入っているかなどを確認する基本的な検査です。鉄筋が正しく配置されているのを確認してからそのフロアをコンクリートで固めますが、後で誤りに気づくと大きな損失になるため配筋検査はとても重要です。

「CONSAIT Basic」の記録機能では、図面にピンを立て、場所名とメモを入力し、数タップするだけで電子小黒板を撮影できます。工程内検査指摘機能では、指摘写真と是正後の写真を撮影・管理でき、是正前後の状況も一目瞭然です。写真は自動整理されて、クラウド上の図面に共有されますし、帳票化も可能です。

「CONSAIT Pro配筋検査」では、配筋検査の撮影・記録・共有・出力を一元管理することで、現場で働く方が快適な環境で創造に集中できることを目指しています。

「CONSAIT」を使うとどのようなメリットがあるのでしょうか?

「CONSAIT」を使うことによって、検査の高品質化と作業の効率化という二つのメリットがあります。

配筋検査にはそれなりの技術が必要です。ベテランなら問題がありそうな部分が直感的にわかり、気にかけてチェックするのですが、経験が浅い若手は見ただけではわかりません。「CONSAIT」のAIサポートを活用いただき、若手の方でも配筋検査シーンでご活躍されています。

建設現場では人手不足が深刻ですが、「CONSAIT」は建設現場ごとに配筋の撮影・記録・情報の共有・出力を一元管理するので、一人でもたくさんの検査ができて効率的です。事前準備から検査結果の帳票化まで40〜50%の短縮化が図れます。

現場管理業務にかかる時間を60%短縮した事例も

現場管理業務にかかる時間を60%短縮した事例も

現場からはどのような反応がありましたか?

若い方は、最初は難しいと言いながらもすぐに覚えて使いこなしています。それを横で見ているベテランの方が「CONSAIT」に関心を持つなど、相乗効果もあるようです。

ご採用頂いたゼネコン様の中には、入社2〜3年目の20代の女性に、このシステムを使って検査していただいた事例があります。その現場では、若手社員が検査をするきっかけになる、検査知識を習得できる、クラウドに情報が飛ぶのでみんなで情報共有できて、成長の底上げにもなるというお言葉をいただきました。

建築現場は泥臭いイメージがあるかもしれませんが、AIを使って成長できる場があることで、若手がどんどん入ってくる業界になってほしいと思います。

「CONSAIT」を使う企業からはどのような反応がありましたか?

「CONSAIT」は共同開発を行ってきた配筋検査システム協議会のゼネコン21社様向けにサービスの提供を開始し、2024年12月からは一般向けにも提供しています。2025年12月時点では、20カ所の現場で活用されています。

配筋検査システム協議会のメンバーである安藤ハザマ様は、鉄筋コンクリート造2階建ての工事現場で「CONSAIT」を使用し、従来の手法で管理した場合と比較して現場管理業務に要する時間を約60%短縮できたこと、BPOで対応した場合も約40%短縮できたことをプレスリリースされました。

同様の事例が広がっていくことを期待しています。

共創スキーム「配筋検査システム協議会」とは

共創スキーム「配筋検査システム協議会」とは

開発の背景はどのようなことだったのでしょうか?

背景にあるのは2024年問題です。2024年4月に施行された「働き方改革関連法案」で、建設業には人手不足の深刻化や熟練技術者の高齢化などの課題があります。

その課題をAI技術の活用で解決したいと考えるゼネコン21社様と弊社は配筋検査システムについて3年間共同開発を行い、2023年10月には弊社が主催して「配筋検査システム協議会」という新たな共創スキームを構築しました。

本来競争相手であるゼネコン21社をまとめていくのは大変ではありませんか?

もちろん大変ですが、非常に意義があることだと思っています。21社が解決を求めているということは、それだけ課題が大きいということです。

デバイスの技術はパナソニック株式会社、アプリ開発とシステム開発はパナソニックコネクト株式会社が担っていますが、事業の主体は弊社です。アジャイルですばやく改善を重ねていくためには、ゼネコン21社と弊社の「配筋検査システム協議会」という共創スキームが重要だと思っています。

イノベーターとして早期にシステムを導入して道を開こうとされる企業様がいらっしゃるので、その結果を他の企業様に紹介したり、現場の本当の声を引き出したりして、議論を進めています。

「CONSAIT」が描く未来とは

「CONSAIT」が描く未来とは

20年後30年後の建設現場はどのようになっていくのでしょうか?

プレキャスト工法という工法があります。コンクリートの建築物を作るとき、通常は現場で型枠にコンクリートを流し込んで作りますが、プレキャスト工法は、コンクリートの部材を工場で生産し、現場で接続する方法です。

今は、現場で作って検査をするので手間がかかっていますが、工場で集中的に生産して管理された部材を組み立てれば、現場での検査は必要なくなりますし、工場という快適な環境で検査することができます。

業界がプレキャスト工法にシフトしていく可能性もあるので、現場でもプレキャスト工場でも「CONSAIT」が役立つよう、業界の皆様と検討していきたいと考えています。

御社の今後の展望などはありますか?

2024年12月、「CONSAIT Eye」に「ARスケール」という新機能を標準搭載しました。これまでは現場に実物のメジャーを置いて写真撮影していたのですが、「ARスケール」機能によって、画面上にデジタルスケールを表示できるようになりました。

「AI」と「ひと」が共創する新たな機能を継続して生み出していきたいです。合わせて効率性も高めていき、「ひと」がより創造的な業務に集中できる建設現場になることを最終ゴールとしています。

先日、DX展ではじめて海外展開のお話をいただいたので、今後は海外展開のフィジビリティスタディ(実現可能性)も検討してみたいと思っています。

終わりに

建設DXサービス「CONSAIT」はPLTとゼネコン21社の共創スキームで生まれた〈まとめ〉

KeyPoint

  • 建設DXサービス「CONSAIT」は、建設現場ごとの情報を一元管理し、作業の効率化で生産性を高め、現場で働くすべての人が快適な環境で創造に集中できる未来を目指す。
  • 「CONSAIT」によって検査の高品質化と作業の効率化が図れる。
  • すばやく改善を重ねていくためには、今後もプライム ライフ テクノロジーズとゼネコン21社の共創スキーム「配筋検査システム協議会」が重要である。

いかがでしたでしょうか?

子どもの頃、図面を見ながら現場で打ち合わせをしている建築家をかっこいいと思ったことがきっかけで、建築家になった人がいます。

昔は3K (きつい、汚い、危険)と言われた建設現場でも、「CONSAIT」をスマートに使いこなして配筋検査をする社員が増えたら、興味を持つ若者が増えるかもしれません。

高齢化と若手社員の不足が建設業界全体の課題なら、これまでの競争相手と手を組み、知恵を絞って解決策を検討するのもアリではないでしょうか。

様々な業界で、企業の合併や業務提携によって勢力図が大きく変化しています。これまでの常識や枠組みにとらわれずに課題に取り組んだら、新たな可能性が広がるかもしれません。

CONSAIT
https://www.consait.com/
プライム ライフ テクノロジーズ株式会社
https://prime-life-tec.com/

TEXT:PreBell編集部

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