「ドローンを通じて関わる人の人生を豊かにする」業界を牽引するIDAの技術とは
近年、ドローン技術が急速に発達し、私たちの生活や産業に革命をもたらしています。
2022年12月には有人地帯での補助者なし目視外飛行が解禁され、あらゆるビジネスシーンにける活用が期待されています。
しかし、有人地帯上空の飛行における安全性など疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
一般社団法人国際ドローン協会(IDA)は、ドローン業界のパイオニアとして、教習所の運営、空撮や薬剤散布、測量などあらゆる事業を牽引してきました。
今回は、IDA代表理事の榎本幸太郎氏から、前編と後編の2回に渡ってお話をお伺いしています。
前編では、国家資格である一等・二等無人航空機操縦士の指導、ドローン業界の現状と課題についてご教授いただきました。
弊社は「ドローンを通じて関わる人の人生を豊かにする」を理念として2018年に設立しました。
国家資格取得をサポートする教育事業、インフラの点検や農薬散布などの産業事業、映画、CM、ミュージックPVの撮影から大手ゼネコンのコンサルティングまで幅広い事業を展開しています。
10歳からラジコン飛行機、16歳からラジコンヘリコプターを始め、約40年にわたって無人航空機を操縦してきました。
ドローンの飛行年数は組み立て式ドローンから数えると14年以上になります。
映画・CMの撮影、都内の上空飛行、山岳地・局地での撮影及び調査・測量、3Dマップの製作や壁面調査などさまざまな経験を積んできました。
操縦技術だけで仕事はできない。撮影から法律まで幅広い知識と経験を習得して欲しい。
榎本さんは無人航空機操縦の長いキャリアがあるのですね。御社が運営している教習所の特徴などはありますか?
IDA教習所では、実務経験豊富なパイロットが一等・二等無人航空機操縦士の指導にあたっています。
国家資格の取得に留まらず、実務での運用を念頭において、より高いレベルで、業務でドローンの飛行を行えるプロレベルのパイロットになることを目的の一つとしています。
操縦技術はもちろんですが、法律、カメラ、動画編集、地図、気象などあらゆる知識などが必要になるので、そういった幅広い分野でのアドバイスも行っています。
現在の資格取得者が約6,000人で、そのなかの約930人が一等で、残りは二等ライセンス保持者になります。
一等の合格率は30%以下で、二等は約50%なので、かなりレベルの高い試験ではないでしょうか。
民間資格から国家資格になったことで履歴書にも書けるようになりましたし、行政や企業に対して安全性を証明する有効な担保になるので取得を目指す方は増えるでしょう。
農業用ドローン普及に伴う「経験の浅い操縦士」による事故が多発
正確な数字は把握できていませんが、1万機程度が市場に出回っており、事故も急増しています。
10tトラックの免許を取得したばかりの人が「明日から渋谷で配達してください」と言われても無理ですよね。
それと同じようなことがドローン業界でも行われており、経験の浅い操縦士による事故が多発しているのが現状です。
榎本さんはいつから農業用ドローンに携わっているのですか?
大学生の頃、産業用ラジコンヘリコプターのライセンスを取得して、農薬散布のアルバイトを始めました。
当時から「これからの時代はラジコンヘリコプターだ」と話題になっていたのですが、30年を経て「ドローンがゲームチェンジャーになる」と再び言われるようになりました。
その一方で、現在でも、散布面積やバッテリー、薬剤の積載荷重の容量から「ヘリコプターでなければ無理だろう」という意見があることも事実です。
航空業界の不可能を可能に!ヘリからドローンに切り替える日本最初の事例が誕生
御社で活用されているドローンはヘリコプターと同等のスペックがあるのでしょうか?
現在では、オペレーションの工夫によって、ヘリコプター以上の作業ができるようになりました。
弊社は千葉県香取郡東庄町にも教習所を開設しています。
その近隣にある320haの農地で散布を依頼された際には、ヘリコプター6機が行っていた作業をドローン4機で同じ時間で完了させました。
その後、「ヘリコプターからドローンに切り替えた日本最初の事例」として話題になり「ドローンはヘリコプター以上の能力がある」と空気が一変しました。
今年1月に行われた日本初の実証実験はいかがでしたか?
10haの農業用地に2機で農薬散布を実施し、散布時間や薬剤補充量・回数及びバッテリー交換回数などの実証実験を行いました。
使用した農業用ドローンT30は、1つの送信機で複数の機体を操縦することが可能ですが、2機同時の飛行は非常に難易度が高いといわれています。
弊社の一等無人航空機操縦士が無事にミッションを遂行し、航空業界の不可能を可能にしました。
6Kカメラや赤外線カメラを搭載。安全・迅速・低コストかつ高精度な点検を実現
ドローン業界の歴史を変える実証実験だったのですね。農業用以外ではどのような分野で活用されているのでしょうか?
産業用ドローンの大きな事業のひとつが点検業務です。
従来、橋梁などインフラ施設の点検は、大掛かりな足場を組み、監視員を配置して、多額のコストと長い期間をかけて行っていました。
しかし、産業用ドローンを利用すれば、6Kカメラや赤外線カメラを用いることで、安全・迅速・低コストかつ高精度なインフラ施設の点検が可能です。
台風や地震による被災地での作業でも利用されているのでしょうか?
1月の能登半島地震では、地震で崩壊した建物の中など人が立ち入れない箇所をドローンで調査しました。
弊社は、国土交通省の災害認定を受けており、震度6以上の地震が発生した場合、湾岸道路など担当現場を調査する役割を担っています。
2022年には、東京都江東区有明にて、国土交通省関東地方整備局東京国道事務所が主催する首都直下地震を想定したドローン映像伝送訓練にも参加しました。
現在のドローン業界の課題などあれば教えていただけますでしょうか?
ドローンは単なるラジコンではなく、法律では「無人の航空機」ですから、自己流で身につけた技術で操縦をするのは非常に危険です。
ドローンで仕事をするためには、国家資格を取得するだけでは充分とは言えません。
産業用にしても空撮にしても、操縦に加えて、PCや法律などさまざまな知識と経験が必要になるでしょう。
ドローンを「資格ビジネス」と捉えて、充分な修行をしないでプロになれると思い込んでいる方が増えていることを非常に懸念しています。
弊社では、教習所の運営や事業を通じて、新しい可能性を広げてくれるドローンと共に未来を切り開いていきたいと考えています。
key point
- 一般社団法人国際ドローン協会(IDA)は「ドローンを通じて関わる人の人生を豊かにする」を理念として2018年に設立された。
- IDA代表理事の榎本氏は、10歳でラジコン飛行の操縦を始めて40年以上にわたる無人飛行機操縦のキャリアがある。
- 国家資格取得をサポートする教育事業、インフラの点検や農薬散布などの産業事業、映画、CM等の撮影から大手ゼネコンのコンサルティングまで幅広い事業を展開している。
- IDAの教習所では実務経験豊富なパイロットが一等・二等無人航空機操縦士の指導に当たっている。
- ドローンで仕事をするためには、国家資格を取得するだけでなくカメラ、動画編集、地図、気象など幅広い分野の知識が必要である。
いかがでしたでしょうか?
ドローン業界は2025年には市場規模が6500億円になることが予測されています。
ドローンを活用した新たなビジネスやサービスが次々と生まれるなかで、キャリアアップの一環として免許の取得を検討されている方もいるかもしれません。
しかし、有人地帯上空を飛行する場合の墜落や落下といったトラブル発生時に、大きな事故につながるリスクも孕んでいます。
2023年時点で、国家資格の登録講習機関は1600校以上あるドローンスクールのなかで374校。
今回ご紹介したIDA無人航空機教習所のように経験豊富な講師陣による実務を見据えた技術が取得できるスクールをおすすめします。
intervieweeプロフィール
榎本 幸太郎
一般社団法人国際ドローン協会代表理事・一等無人航空機操縦士
10歳からラジコン飛行機、16歳からラジコンヘリコプターを始め、以後40年にわたって無人航空機を操縦してきた日本におけるドローン操縦の第一人者。2008年からはドローンを使用した多くのミッションに関わり、映画・CMの撮影、都内やDID上空の飛行、山岳地・局地での撮影および調査・測量、3Dマップ製作や壁面調査など豊富な経験を持つ。海外での撮影経験も多い。それらの経験・技術を生かし2018年よりドローンスクールを主宰。2023年3月にはIDA無人航空機教習所を開き、一等無人航空機操縦士および二等無人航空機操縦士の技能認証が取得できる全国でも少ない施設を運営している。
一般社団法人国際ドローン協会
https://ida-drone.com
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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