SNSは若者のうつ病リスクを高める 米保健福祉省勧告
米保健福祉省(HHS)のヴィヴェク・マーシー医務総監は5月23日、SNS(交流サイト)の多用が子どもや十代の若者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があるとする異例の勧告書を発表した。
マーシー氏は、SNSが青少年の精神的健康に及ぼす影響は完全には解明されておらず、一部のユーザーにとっては有益な可能性もあると指摘。一方で、「SNSが子どもや青少年のメンタルヘルスに重大な悪影響を及ぼす可能性があることを示す十分な兆候が示されている」と若者のSNS利用に警鐘を鳴らした。
勧告書によると、米国の13歳から16歳の若者は1日平均3.5時間をSNSに費やしているという。1日の使用時間が平均3時間を超えると、若者がうつ病にかかるリスクが倍増するとマーシー氏は警告した。
「青少年は脳の発達において重要な段階にある」とし、特に「アイデンティティや自尊心が形成される思春期初期において、脳の発達は社会的圧力や仲間の意見、仲間との比較の影響を受けやすい」と話した。
SNSへの安全基準の設定を求める
この勧告はSNSの過度の使用について、家族や若者に注意を呼びかけるとともに、テクノロジー企業や研究者らに対してさらなる研究と規制の検討を促した。
「急速に進化し、子どもたちの自己認識を根本的に変える新しいテクノロジーを受け入れることは、親たちに要求することがたくさんある」とマーシー氏は述べた。勧告書では、家族が子どものSNSの使用を指導するのに役立つ実践的な推奨事項を示している。例えば、食事の時間や対面での集まりではスマートフォンなどのデバイスを使用しないことを推奨した。
テクノロジー企業に対しては「私たちは製品の安全性に問題がある他の分野で行っていることと同じことをしなければならない」として、安全基準の設定を提案した。加えて、最低年齢制限の施行と、高い安全性とプライバシー基準を備えた子ども向けのデフォルト設定を作成するよう求めた。
【関連リンク】
・Social media can put young people in danger, U.S. surgeon general warns(NPR)
https://www.npr.org/2023/05/23/1177626373/u-s-surgeon-general-vivek-murthy-warns-about-the-dangers-of-social-media-to-kids
・Surgeon General Warns That Social Media May Harm Children and Adolescents(The New York Times)
https://www.nytimes.com/2023/05/23/health/surgeon-general-social-media-mental-health.html
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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