セールスフォース、安全な生成AI利用を支援
米Salesforce(セールスフォース)は6月12日、信頼性が高い生成AI(人工知能)「AI Cloud(クラウド)」を企業向けに提供すると発表した。個人情報や機密情報の流出を防ぐ仕組みを開発し、より安全に生成AIを利用できるようにする。
合わせて、新サービス「Einstein GPT Trust Layer(アインシュタインGPTトラストレイヤー)」を発表した。AIクラウドに搭載しており、AIアプリケーションやワークフロー内の機密データを保護する機能を持つ。顧客が入力したデータが大規模言語モデル(LLM)の公開データに統合されることを防ぎ、生成AIのセキュリティ上の懸念に対応した。
AIクラウドは営業担当者やマーケティング担当者、エンジニアなどの活用を想定する。営業担当者は顧客ニーズに合わせたメールを自動生成するよう指示できる。マーケティング担当者はパーソナライズされたコンテンツをAIクラウドで生成でき、エンジニアはコードの自動生成やバグ修正などを依頼することができる。
新サービスは米ニューヨーク市で開催した説明会で発表された。同社会長兼最高経営責任者(CEO)のマーク・ベニオフ氏はAIクラウドの信頼性を強調し、「AIクラウドはあらゆる企業に驚異的なイノベーション、生産性、効率をもたらす」と話した。
従業員の73%がAIによるセキュリティリスクを心配
米新興のオープンAIが開発した「Chat(チャット)GPT」をはじめとする生成AIは簡単な指示をするだけで、文章やプログラムを作成してくれる。議事録の要約やプレゼンテーションの作成などの業務サポートが期待されるが、個人情報保護や情報の信頼性の課題が指摘されてきた。
セールスフォースが5月、米国や英国、オーストラリアなどのフルタイム従業員4000人以上を対象に実施した調査によると、全体の73%が生成AIによりセキュリティに新たなリスクが生じると考えていることがわかった。従業員の61%が生成AIを職場で使用している、または使用する予定にも関わらず、そのうち約60%がデータの安全性を確保する方法がわからないと回答した。
生成AIの活用は企業によって判断が分かれている。国内でもパナソニックや日清食品、ベネッセなどの大手企業がチャットGPTを導入した一方、国内ではソフトバンク、海外では米アマゾン・ドット・コム、米JPモルガンなどが業務利用を一部規制している。
【関連リンク】
・Salesforce announces AI Cloud to empower enterprises with trusted generative AI(VentureBeat)
https://venturebeat.com/ai/salesforce-announces-ai-cloud-to-empower-enterprises-with-trusted-generative-ai/
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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