スマホなど「修理する権利」保護進む 米で法整備
近年、米国ではスマートフォンやタブレットなどを「修理する権利」の保護が進んでいる。米ニューヨーク州では7月1日、全米で初めて消費者の修理権を保護する法律が施行された。消費者は従来よりも手軽に手持ちのデバイスを修理できるようになる。
一般にスマホなどのデバイスが故障すると、メーカーが修理を担当する。メーカーが指定する特定の業者を経由しなければならない場合も多く、利用者が個人でパーツを入手して修理するのは困難だった。修理代がかさむため、買い替えた方が安く済むこともあった。
ニューヨーク州は2022年12月に修理する権利に関する法案を可決し、2023年7月に施行した。この法律では、電子機器の修理マニュアルなどの資料を公開することをメーカーに義務付ける。2024年1月からは違反したメーカーに対して罰則を科す。
修理する権利をめぐってはミネソタ州やコロラド州でも法案が可決された。修理する権利の擁護団体「リペア・アソシエーション」によると、米国で40を超える州が法案を審議しているという。
廃棄される電子機器を減らす狙いも
修理しづらいということは、故障しただけで廃棄されるデバイスが増えることに繋がる。米国環境保護庁(EPA)によると、2009年に廃棄された電子廃棄物は237万トンに上った。電子廃棄物は水銀や鉛など有毒な物質が含まれており、環境や健康に害を及ぼす恐れがある。
消費者がデバイスを修理する選択肢を増やすことで、買い替えの頻度を減らすことが可能になる。こうした動きを受け、メーカー側も対応を迫られている。
米Appleは4月、故障したデバイスの修理に必要な部品や工具を販売する修理ストアを立ち上げると発表した。利用者は同社のウェブサイト内にある修理マニュアルを閲覧することも可能だ。
【関連リンク】
・「修理する権利」米で保護法(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72139850S3A620C2FF8000/
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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