国立科学博物館、クラファンで1億円の寄付募る
東京都台東区、上野駅に位置する国立科学博物館。通称、科博(かはく)と呼ばれ、500万点の標本や資料を誇る国内最大規模の博物館が存続の危機に瀕している。
「いま、ご支援が必要です」。8月7日、国立科学博物館は1億円を目標額とするクラウドファンディングを開始した。資金集めを仲介するサイト「READYFOR(レディーフォー)」上で寄付を募る。
過去最大の資金確保プロジェクトに踏み切った背景には、光熱費の高騰などの維持費の増加がある。今年の光熱費は約4億円にのぼり、2年と比べるとほぼ2倍だ。毎年数万点ずつ増える標本や資料を収集・保管するための費用を自力では賄いきれなくなっていた。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入場客の減少が追い討ちをかけた。入館料の収入はコロナ禍前の2019年度が約7.5億円だったのに対し、2020年度には約1.5億円に落ち込んだ。結果として、標本や資料の収集を諦めなければならない状況になっているという。
国立科学博物館には国内外の動植物や化石の標本などが保管されている。そのほとんどは上野にある博物館ではなく、茨城県つくば市の収蔵庫に保管されている。収蔵庫は年間を通して適切な温度管理が必要であり、節電が難しい状況だった。
同日午前9時に篠田謙一館長らが都内で記者会見を開いた。篠田館長は「科博が持つ膨大なコレクションを守り、国内に点在する貴重なコレクションの収集活動の継続に対するわたしたちの思いにご支援をお願いします」と訴えかけた。
開始日に目標1億円をスピード達成
クラウドファンディングを呼びかけてからおよそ9時間後、目標金額の1億円を達成した。ホームページにはアクセスが集中し、サイトを開きにくい状況もあったという。翌日には4億円を突破し、8月15日時点で6.5億円の寄付が集まっている。
寄付は1口5000円から可能。限定グッズやバックヤードツアー、特別体験など金額に応じたリターンを用意している。一部完売しているコースもある。クラウドファンディングは11月5日まで継続予定だ。
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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