インドネシア、高速鉄道の試運転を延期。理由は安全性と快適性。
インドネシアは8月18日に予定されていた高速鉄道の試運転を来月に延期した。開発元の「インドネシア中国高速鉄道(KCIC)」は延期の理由として、安全性と快適性を挙げている。
高速鉄道は中国の一帯一路構想の一環として、中国の資金・技術協力で進められてきた。インドネシアの首都ジャカルタと国内最大級の都市バンドンを結ぶ142キロメートルの鉄道路線の建設を目指している。
プロジェクトは73億ドルの資金を費やしてスタートした。当初は2019年の完成を予定していたが、12億ドルもの大幅なコスト超過や運営の遅れなどにより、何度も完成を延期してきた経緯がある。
試運転の予定日だった8月18日は、インドネシアの独立記念日の翌日だ。正式な開業の前にジョコ・ウィドド大統領を含む招待客を無料で乗せる計画だった。
KCICは乗客の安全と利便性を確保するため、試運転を延期する必要性を訴えた。社内試験は順調だったが、必要な運用証明書について運輸省と調整するとしている。試運転は9月初旬に行われる予定だ。
正式な開業は10月を予定しており、試運転の延期を受けても変更はない。
中国の肝入りで進められた高速鉄道
高速鉄道は中国が包括的に関与した初の海外鉄道事業だ。2015年に入札が行われ、日本も参加した。最終的にはインドネシア政府に財政負担をさせないと打ち出した中国が受注したが、工期の遅れや資材高騰などにより、インドネシア政府は国庫支出を余儀なくされた。
10月の完成が予定通り行われれば、インドネシアは高速鉄道システムを誇る東南アジア初の国となる。開通は交通にも大きな影響を与える。ジャカルタとバンドン間の移動時間が従来の3時間以上から約45分に短縮される見込みだ。
片道運賃は最大35万ルピア(約23.50米ドル)に上ると予想されている。この価格設定はインドネシア国民の1週間の平均収入のほぼ4分の1に相当する。専門家はビジネス客の誘致が困難になる可能性を指摘している。
【関連リンク】
・中国との共同事業のインドネシア高速鉄道、ソフト開業を延期 安全性確保のため(Newsweek)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/08/post-102398.php
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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