米アップル警告——規制案に対する安全性懸念を指摘
政府の「デジタル市場競争会議」は2023年10月12日、スマートフォンのOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションの流通市場の独占に対応するための規制案に対するパブリックコメントを公表した。
政府の報告書では、米アップルのiPhoneを念頭に、自社のアプリストア以外からのアプリ入手を可能にするよう義務づける方針などが盛り込まれている。しかし、米アップルは多くの問題点を否定し、規制方針について「プライバシーやセキュリティを危機的な状況に追い込む」と警告した。
また、米アップルは政府の意見公募に利用者らが寄せた500件超の意見を独自に集計した結果、9割近くの意見が安全性などを理由に反対していることを明らかにした。米アップルによると、反対意見は480件以上で、各分野の専門家や団体が規制案への懸念を指摘しているという。
米アップルは29ページの意見を提出し、他社の「ストア」経由のアプリ流通を可能にすることにセキュリティレベルの損失を指摘した。安全保障上の懸念も挙げて「米国の議論を注視し、調整すること」を日本政府に求めた。
日本政府——競争を妨げる行為を禁止し、新規参入を支援
スマートフォンのOSやアプリケーションの流通市場は、米アップルとグーグルの2社による独占状態が固定化し、手数料の高騰が問題とされている。実は、App Store、Google Playストアを利用するサードパーティは15%〜30%の手数料の支払いが必要なのだ。
政府は従来の独占禁止法に加えて、競争を妨げる行為を事前に禁止する「事前規制」を導入することで、新規参入などを促進したい考えだ。法案の提出は、早ければ来年の通常国会を目指している。
【関連リンク】
・モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告(案)概要(首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/digitalmarket/kyosokaigi/dai7/siryou1.pdf
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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