脳チップの開発元、ニューラリンクが手術方法を改良し2人目の被験者へ挑戦
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2024.07.15 脳チップの開発元、ニューラリンクが手術方法を改良し2人目の被験者へ挑戦

2024年7月12日、イーロン・マスク率いる脳神経科学企業ニューラリンクは、近いうちに2人目の人間被験者の脳にチップを移植する予定だと発表した。この発表は、1月に1人目の被験者への移植手術を行って以来、約半年ぶりとなる。

最初の手術では、チップと脳をつなぐ糸が数週間後に外れてしまうという問題が発生し、データ収集に支障をきたした。これを受け、ニューラリンクは手術方法の見直しを行った。

ニューラリンクの副社長、ドンジン・ソによると、新しい手術方法では「頭蓋骨の表面を削り、チップを覆うインプラントと頭蓋骨の間の隙間を最小限に抑える」という。また、糸を脳に深く挿入し、チップの動きをより緻密に追跡することで、問題の再発を防ぐとしている。

最初の被験者、四肢麻痺患者のノーランド・アルボは、手術後も問題なく活動できている。マスクによると、アルボは映像視聴やチェス、ビデオゲーム、読書などに時間を費やし、最大で一週間に70時間も活動しているという。しかし、彼のチップは糸の脱落により、本来の機能の15%しか発揮できていない。

ニューラリンクの技術は希望か、危険か

ニューラリンクは今年中に10人に近い被験者にチップを移植することを目標としている。同社神経外科責任者のマシュー・マクドゥーガル博士は、手術方法の改善に意欲的で、「糸の挿入深度を変えていく」と述べている。

ニューラリンクの技術は、麻痺患者に希望を与える一方で、倫理面や安全面での懸念も残る。動物実験や臨床試験の透明性に関する議論に加え、被験者のプライバシーやデータ保護についても考慮する必要がある。

しかし、最初の被験者であるアルボは、手術後の認知障害はなく、安全性への不安を払拭するコメントを残している。「手術は簡単で、翌日には退院できた」と彼は語っている。ニューラリンクの次なる手術と、技術の今後の発展に、世界中が注目している。

【関連リンク】

・マスク氏の脳インプラント会社、約1週間後に2人目の施術を目指す(Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-10/SGFDUWT0G1KW00

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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