ソフトバンクが次世代通信インフラ「AI-RAN」を発表 ニュース

ソフトバンクが次世代通信インフラ「AI-RAN」を発表

ソフトバンクは11月13日、AIと無線アクセスネットワーク(RAN)を統合した次世代通信インフラ「AI-RAN」の具体的ソリューションとして「AITRAS(アイトラス)」を発表した。同社は慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で実証実験を行い、その成果を公開した。

AITRASの特徴は、基地局制御を仮想化したサーバー上で、通信制御とAIアプリケーションを同時に動作させる点にある。システムの中核には、NVIDIAの最新プロセッサ「NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip」が採用され、高度な処理能力を実現している。

実証実験では、画像解析による不審者追跡や自動運転車の安全確認など、実用的なデモンストレーションが行われた。ソフトバンクの宮川潤一社長兼CEOは「ソフトバンクはAI-RANでネットワークを全部作り直すつもりでいる」と意気込みを示した。

AI活用で通信の限界を突破へ

AITRASの技術的な特長として注目されるのが、基地局近傍での低遅延処理の実現だ。例えば、ロボット制御では1秒間に10回の制御が必要とされ、1回あたり100ミリ秒以内の処理が求められる。AITRASは基地局に近い場所でAI処理を行うことで、この厳しい要件をクリアしている。

また、複数基地局の協調制御においても進展が見られた。実証実験では20台の無線機(RU)を1台のサーバーで制御し、100台の端末による同時接続を実現。AIによる自動干渉調整機能により、従来は熟練技術者の経験が必要だった複雑な電波調整を効率化することに成功した。

ソフトバンクは富士通と連携し、米国テキサス州ダラスにも検証ラボを設立する計画を発表。2025年度の商用化を目指すとともに、2026年以降は国内外の通信事業者への展開も視野に入れている。同社の先端技術研究所所長の湧川隆次氏は「2年後にはAIのために導入したサーバーで無線アクセスネットワークを動かす逆転のタイミングが来る」と、AI-RANの将来性に期待を示している。

【関連リンク】
・ソフトバンク、AI-RANの統合ソリューション「AITRAS」を発表——NVIDIAの基盤を活用、他キャリアへの展開も(ケータイ Watch)
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1638934.html

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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