中国、レアメタル禁輸措置で米国に圧力
中国商務省は、ガリウムやゲルマニウム、アンチモンなどのレアメタルの対米輸出を原則禁止すると発表した。この措置は、アメリカが進める対中半導体輸出規制強化への対抗策と見られる。
これらのレアメタルは半導体製造をはじめとする重要な技術分野で必要不可欠な資源であり、特にガリウムはLEDや半導体、ゲルマニウムは光ファイバーや赤外線機器、アンチモンはバッテリーなどに利用されている。
この背景には、アメリカが近年、中国を念頭に置いた半導体製造装置や技術の輸出規制を強化してきたことがある。これに対し中国は、「国家の安全と利益を守る」との名目で輸出制限に踏み切り、米中間の技術覇権争いがさらに激化する様相を呈している。
特に、ガリウムとゲルマニウムの生産において、中国がそれぞれ世界シェアの90%以上を占めている現状を考えると、今回の禁輸措置はアメリカを含む諸外国に深刻な影響を与える可能性がある。
米中対立と世界への波及
今回の中国の措置により、半導体製造を中心とする技術供給網への影響が懸念されている。これまでも中国はレアメタルを戦略的手段として活用してきた実績があり、例えば2010年には日本に対してレアアースの輸出を一時停止した。この結果、国際社会は中国への依存を減らす努力を強化してきたが、現時点でも多くの国が中国産レアメタルに頼らざるを得ない状況にある。
一方、アメリカは対中政策を強化する中で代替供給源の確保に注力している。たとえば、日本やオーストラリア、アメリカの鉱物生産企業と連携を深め、長期的には中国依存を解消する方針を示している。これにより、短期的には供給不足による価格上昇が避けられないものの、中長期的には新たな供給網の構築が進む可能性がある。
米中間の対立が長期化する中、今回のレアメタル禁輸措置は両国だけでなく、グローバルな技術競争と経済構造にも大きな影響を与えると予想される。
【関連リンク】
・中国がレアメタル禁輸でアメリカに反撃...ガリウムの94%、ゲルマニウムの90%、アンチモンの56%が中国産(Newsweek)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/12/528057.php
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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