Xからの脱却。HelloQuitteXで目指す、より良いソーシャルネットワークとは?
2024年1月20日、ドナルド・トランプの大統領就任にあわせて、フランスを中心にX(旧Twitter)の利用停止を呼びかける動きが活発化している。この動きの中心には、フランス国立科学研究センター(CNRS)の研究者たちが開発した「HelloQuitteX」というアプリケーションがある。このツールは、利用者のデータを損なうことなくXから離れ、他のソーシャルネットワークへ移行する手助けをするものだ。
HelloQuitteXは、利用者がXから自身のアーカイブデータをダウンロードし、それをMastodonやBlueskyといった他のプラットフォームに転送できる仕組みを提供する。これにより、Xで築いたつながりを新しい環境でも維持することが可能となる。さらに、ユーザーが移行に要する時間はわずか数分とされている。名前の由来は、日本のキャラクター「ハローキティ」にちなんだものだが、単なる遊び心にとどまらず、利用者に親しみやすさを与えている。
この取り組みを後押ししているのは、イーロン・マスク氏によるプラットフォーム運営への批判だ。買収後のXは、偽情報の拡散や憎悪発言の増幅、さらにはモデレーション体制の解体による社会的リスクが指摘されている。パリ市を含む多くの自治体や団体が、こうした問題への懸念からアカウントの閉鎖を決定している。
科学的知見に基づいたSNS移行の可能性
HelloQuitteXの開発者であるデビッド・チャヴァラリアス氏は、長年ネットワークが社会に与える影響を研究してきた。同氏は「Toxic Data」という著書で、アルゴリズムの偏向や社会的影響について考察を深めている。彼によれば、Xはすでに民主主義や社会秩序に悪影響を及ぼしており、その改善には科学的なアプローチが不可欠だと語る。
このプロジェクトには、数学者や弁護士、ジャーナリスト、人権活動家などが参加している。単なる政治的声明ではなく、科学的知見に基づいた取り組みとして位置づけられている。チャヴァラリアス氏は「ネットワークがもたらす危険性を分析し、より良い社会のための解決策を提案するのが科学者の役割だ」と述べ、プラットフォーム離脱の必要性を強調している。
実際に、HelloQuitteXは公開から10日間で7,000人以上が利用し、その数は日々増加している。この流れが一時的なものに終わらず、より広範な社会的変化を引き起こすかどうかが注目される。これまでXの影響力の下にあった多くの個人や団体が、より安全で透明性の高いネットワークに移行することで、SNSの利用形態そのものが変わる可能性がある。
【関連リンク】
・X利用停止を フランスの研究者らアプリ開発 ロゴマークはキティ似(朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/articles/AST1K7RM1T1KUHBI03RM.html
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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