プラチナバンドとは? 注目されている理由やメリット・デメリット、周波数の割り当てについて解説
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2023.12.20 プラチナバンドとは? 注目されている理由やメリット・デメリット、周波数の割り当てについて解説

プラチナバンドは、携帯電話の利用を快適にする周波数帯を指し、最大1Gbpsの通信速度を提供します。

先月、楽天モバイルがプラチナバンドを獲得したというニュースが話題になりました。

この記事では、プラチナバンドの概要と特徴、メリットとデメリット、そして楽天モバイルが獲得したプラチナバンドの周波数帯について解説します。

また、大手4社の周波数の割り当てについても触れます。

ぜひ最後までお読みください。

プラチナバンドとは

プラチナバンドとは

プラチナバンドは700MHz、800MHz、900MHzの周波数帯を指します。

この帯域は、ビルなどの障害物を避けて電波を送る特性があり、携帯電話やテレビ放送の中継に利用されます。

日本の総務省から通信事業者に割り当てられるこの帯域は、「価値の高い帯域(バンド)」として知られています。

そのため、「価値の高い」ことを象徴したプラチナ(Platinum)という言葉が使用されるようになりました。

当初は「プラチナ電波」という名称でしたが、ソフトバンクが「プラチナバンド」を多用したことでその名称が定着しました。

一方で、この帯域を「プレミアムバンド」や「ゴールデンバンド」と呼ぶ企業も存在します。

プラチナバンドの特徴

プラチナバンドの特徴

プラチナバンドの主な特徴は以下のとおりです。

  • 送受信できる情報量は他の周波数帯よりも少ない
  • 空気中の水分によるおとろえが少ない
  • 電波が飛びやすく、障害物を回り込んで電波が届く
  • コンクリート壁などを透過する力が強い
  • 屋内や地下でも電波が届きやすい
  • 少ない基地局でもエリアをカバーできる

プラチナバンドとLTEの違い

先述のとおり、プラチナバンドは700MHz、800MHz、900MHzを中心とする周波数帯を指す通称です。

一方、LTE(ロングタームエボリューション)は、3Gより容量・速度を増した3.9Gのことで、4Gとも呼ばれます。

プラチナバンドとLTEは全く違うもので、前者は「電波の通り道」、後者は「データを送る方法」という役割を果たします。

プラチナバンドが注目されている理由

プラチナバンドが注目されている理由

プラチナバンドが注目される理由は、新規参入した楽天モバイルがプラチナバンドを認定されたことによるものです。

楽天モバイルが獲得したプラチナバンドについて

楽天モバイルは、2023年10月23日に総務省からプラチナバンドの割り当てを受けました。

しかし、楽天モバイルが割り当てられるプラチナバンドの帯域は狭く、上り下りそれぞれの帯域幅は3MHzしかありません。

これはNTTドコモ、au、ソフトバンクに割り当てられているプラチナバンドの帯域幅20MHzの6分の1程度です。

そのため、LTEでの最大通信速度はダウンロードで30Mbps程度と比較的遅いと言われており、「キャリアアグリゲーション」という複数の周波数帯を束ねて通信速度を高速化する技術も利用できない状況です。

割り当てられたプラチナバンド(700MHz/Band28)のサービス提供開始日は2028年3月頃に設定していますが、準備が早期に整った場合は、運用を2024年度中に前倒しして開始する予定だそうです。

プラチナバンドのメリット

プラチナバンドのメリット

プラチナバンドは低周波数帯であるため、障害物を回り込んで届きやすいという特徴があります。

これは、波長が長くなると生じる「回析」という現象によるものです。

回析(techwebより)

回析により、ビルや山などの障害物が多い場所での安定した通信や、人口が少ないエリアや基地局の設置が難しい場所での通信を可能にします。

とくにNTTドコモ、auに割り当てられている800MHzは、900MHzよりも安定しています。

電波は周波数が低い方が、遠くまで届きやすいという特性があるためです。

800MHzの周波数帯の方が、少ない基地局で広いエリアをカバーできるわけです。

地方にお住まいの方は、プラチナバンド対応端末を選ぶのが安心です。

プラチナバンドのデメリット

プラチナバンドのデメリット

プラチナバンドは周波数帯域が限定的であるため、利用可能な端末やサービスが制限されます。

したがって、非対応端末を使用している方は、動画や音楽などの大容量データの通信に時間がかかる可能性があります。

大手4社の周波数割り当て一覧

最後に、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの周波数の割り当てを紹介します。

周波数帯 NTTドコモ au ソフトバンク 楽天モバイル
700MHz 20MHz 20MHz 20MHz 3MHz(10月23日に獲得)
800MHz 30MHz 30MHz    
900MHz     30MHz  
1.5GHz帯 30MHz 20MHz 20MHz  
1.7GHz帯 40MHz 40MHz 30MHz 80MHz
2GHz帯 40MHz 40MHz 40MHz  
2.5GHz帯        
3.4GHz帯 40MHz   40MHz  
3.5GHz帯 40MHz 400MHz 400MHz  
3.7GHz帯 200MHz 200MHz 100MHz 100MHz
4.5GHz帯 200MHz 200MHz 100MHz 100MHz
28GHz帯 400MHz 400MHz 400MHz 400MHz

(総務省:我が国の携帯電話用周波数の割当てについてより引用)

まとめ

少ない割り当てには懸念の声

本記事では、プラチナバンドの概要と特徴、メリットとデメリット、楽天モバイルが獲得したプラチナバンドの周波数帯、プラチナバンドの再割り当てについて解説しました。

プラチナバンドは、700MHz、800MHz、900MHzの周波数帯を指す言葉です。

この帯域は、厚い壁や建物を透過し回り込む特性があります。

これにより、屋内や地下で働いている方や、地方や山間部で生活する方も安心してモバイル通信が可能になります。

楽天モバイルはこれまでプラチナバンドを持っていませんでしたが、2023年10月23日に700MHz帯の一部が割り当てられることになりました。

これは楽天モバイルユーザーにとって喜ばしいニュースでした。

しかし、大手三社の20MHzに対して3MHzという少ない割り当てには懸念の声もあります。

2024年から楽天モバイルのプラチナバンドが開始される可能性があるため、今後の動向に注目です。

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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