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日本のエンタメコンテンツをアップデートし世界に届ける「Minto」

2023年4月、経団連はエンターテインメントコンテンツについての提言の中で「世界における日本発コンテンツのプレゼンスを持続的に拡大する」ことを目標として掲げています。

エンタメコンテンツのヒットによって日本のイメージが良くなり、日本製品の消費やインバウンド需要が増加することが期待されています。

このような状況のなかで、株式会社Mintoは株式会社NTTドコモ・ベンチャーズより資金調達を実施したことを発表しました。

今回は、株式会社Mintoの代表取締役水野和寛様より、アジアを中心に海外で展開されているコンテンツビジネスや日本のコンテンツの強みについてお話をお伺いしています。

エンタメコンテンツをアップデートするスタートアップ

エンタメコンテンツをアップデートするスタートアップ

御社の業務内容について教えていただけますでしょうか?

マンガ・アニメ・キャラクターのようなコンテンツを、従来の形ではなく新しいテクノロジーを活用してアップデートするスタートアップです。

日本のコンテンツをグローバルに展開するため、中国・タイ・ベトナムに支社があります。

コンテンツソリューション事業、コンテンツディストリビューション事業、コンテンツクリエイション事業の3つの事業があります。

エンタメビジネスのバリューチェーンを網羅した事業組織になっており、制作・流通・販売をすべてできるのが弊社の強みです。

3つの事業について教えていただけますでしょうか。

コンテンツソリューション事業は、クリエイターと広告主をマッチングする事業です。Xの広告マンガの大半を手掛けています。

コンテンツディストリビューション事業は、海外3つの拠点を軸に日本の有名なキャラクターや自社のコンテンツなど日本発のコンテンツIPをグローバルに展開しています。

コンテンツクリエイション事業は、自社でキャラクターの制作をしています。また、縦読みマンガwebtoonのスタジオを作り、年間約30作品を制作しています。

世界中の主要チャットアプリと提携して配信しているスタンプは60億ダウンロードを超えました。Web3には2018年からチャレンジしており、メタバース領域についても日本の大手IPホルダーさんと共にメタバース空間の制作を行っています。

日本のエンタメコンテンツはクオリティが高い

日本のエンタメコンテンツはクオリティが高い

日本のコンテンツの強みはどのような部分にあるのでしょうか?

我々が扱っているのはマンガ・アニメ・キャラクターですが、その領域は世界的にみても日本の作品のクオリティが高くファンが多いと思います。

海外では毎週マンガを読む習慣はありませんが、日本では週刊連載マンガの読者が非常に多く作品数も多いので、マンガ家も目指す人もたくさんいます。

端的に言えば、アメリカでは多くのクリエイターが目指すのはハリウッド、映画産業です。日本ではマンガに多くのクリエイターが集まります。

その結果、日本では、マンガとアニメ、そこから派生するキャラクターが、世界の中でも質も量も圧倒的に優れています。

日本のマンガ・コンテンツはなぜクオリティが高いのでしょうか?

マンガ家を目指す人は非常に多いですが、週刊少年ジャンプに掲載されるのは、野球選手がメジャーリーガーになるより難しいくらいの確率です。

ほんの一握りの人しかトッププレイヤーになれなかったので、皆が切磋琢磨してクオリティが上がったという側面があったかと思います。それに加えて、最近では、雑誌以外でも電子書籍で連載する場を設ける人がいたり、我々がSNSでマンガを発信する人の収益化をお手伝いしたり、雑誌に掲載される方以外でもちゃんと収益を上げられるようになっており、マンガを発表する機会も増えています。

コロナ禍、映像配信メディアで再発見された日本のエンタメコンテンツ

コロナ禍、映像配信メディアで再発見された日本のエンタメコンテンツ

いつ頃から日本のコンテンツが海外に受け入れられるようになったのでしょうか?

『キャプテン翼』や『北斗の拳』など、80〜90年代に流行ったマンガ原作のアニメがとても人気が出て、世界を席巻しました。

その背景には日本のアニメ番組をヨーロッパのテレビ局が放映したのですが、この30年でテレビからメディアが変化していくなかで、一旦は日本のアニメが見られる場所がなくなってしまいました。

ところがこの10年の変化として、ネットフリックスなどの映像配信メディアが注目を集め、過去のアーカイブ作品も含めて日本のアニメを世界中の人が簡単に見られるようになっています。

一番大きかったのはコロナ禍でのおうちエンタメ思考です。世界中の人が家でネットフリックスなどを見るうちに、日本のアニメが面白いと再発見しました。

日本のコンテンツは海外に輸出して利益を出せるのでしょうか?

マンガやアニメの作り手たちは、世界を意識して作っていたわけではありません。日本向けに作ったものがヒットして一部が海外に流れていました。

日本では海外で販売したり事業を展開したりする人材が少ないので、海外の会社にまかせてしまっています。

コンテンツ自体の稼ぐ力は増えているけれど、そこで得られる収益をきちんとビジネスとして成立させているかというと、まだまだできていないと思います。

オンライン上にクリエイターの経済圏をつくる

オンライン上にクリエイターの経済圏をつくる

御社はWeb3で事業展開されています。ブロックチェーンやNFTはコンテンツビジネスに親和性があるのでしょうか?

弊社で契約している作家さんが4コママンガを描くと、みんながリツイートしたりシェアしたりして無限に複製されます。広告メディアの観点では広がることは良しとされますが、広告主以外のエンドユーザーがお金を払っているわけではありません。

我々は、2018年にブロックチェーン技術を用いて宝石を模したキャラクターを採掘する「Crypto Crystal(クリプトクリスタル)」というゲームアプリを作りました。2021年にNFTがブームになったとき「Crypto Crystal」はヴィンテージとして100倍、1000倍の価値がついたことがあります。

デジタルコンテンツ一個一個に所有者や発行日などの情報を書き込んで、モノと同じようにデジタルコンテンツにユニークな価値を与えることがブロックチェーンの使い道だと思います。

クリエイターが収入を得られるような土壌はできているのでしょうか?

自分が創ったものを多くの人に見てもらえる環境がオンライン上にあることが、クリエイターが発信し続けるための土壌になっているのではないでしょうか。

マンガ雑誌に掲載されなくてもオンライン上の連載だけで食べていけるクリエイターはたくさんいます。自分で作ったNFTをパトロン的なファンの人だけに買ってもらうというパターンもできました。会社に属して安定した収入を得る人もいます。

昔と比べるといろいろな手段で稼げるようになり、クリエイター自身がそれを選べる時代になってきたと言えるでしょう。

エンタメコンテンツが日本経済を牽引する

エンタメコンテンツが日本経済を牽引する

経団連もエンタメコンテンツ市場に注目しているそうですね。

今まで経団連は自動車や電機の市場についての提言を出していましたが、2023年にはじめてコンテンツ産業についての提言を出しました。

既存の産業は厳しくなっており、逆に経済界としてもエンタメ産業に取り組まなくてはいけないということでしょう。

マンガやアニメのコンテンツには優秀なクリエイターが多数集まっているので、ここを勝ち筋にしてグローバルで事業を広げていくのが我々の役割だと思います。

御社の今後の展望などはありますか?

我々の強みは、バリューチェーンで制作から流通・販売まで全部できるところ、それを国内外で展開していくことです。

コンテンツIP事業では、お預かりするコンテンツの質や量を増やし、日本のコンテンツを世界中に広げていきます。もう一つは、お預かりするコンテンツだけでなく自分たちで作るコンテンツを世界でヒットさせることです。

Webtoonで自社の作品を作っているので、我々の生み出したコンテンツがヒットすれば、我々が作ったバリューチェーンでグローバルに広げていきたいと思います。

終わりに

マンガは、日本の文化を世界に広げる牽引役

key point

  • 株式会社Mintoは、エンタメビジネスのバリューチェーンを網羅した事業組織になっており、制作・流通・販売をすべてできるのが強みである。
  • 日本のマンガ・アニメ・キャラクターのコンテンツは、エンタメ全体のなかでも質も量も圧倒的に優れている。
  • 80~90年代に一度世界を席巻した日本のアニメが映像配信メディアで見られるようになり、コロナ禍でそのクオリティの高さが再発見された。

いかがでしたでしょうか?

2024年3月、『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』で知られる鳥山明氏の訃報が伝えられました。

そのニュースはBBC、ニューヨーク・タイムス、ルモンドなど広く世界でも速報され、フランスの有力紙リベラシオンは社説を掲載しています。

かつて子どもの読み物に過ぎなかったマンガは、今や日本の経済を成長させ、日本の文化を世界に広げる牽引役となっています。

これからも日本のエンタメコンテンツが新しい技術によってアップデートされ、世界中に広がっていくところを見守りたいものです。

株式会社Minto

代表取締役 水野 和寛

前職で日本No.1のデコメやゲーム等の事業を牽引後、(株)クオン設立。キャラクター・スタンプで世界60億超DL。2021年にSNS漫画No.1のwwwaapと経営統合し(株)Mintoに。Web3、Webtoon、メタバース領域の事業も国内代表格へと成長。中国、タイ、ベトナムへも拠点展開。

株式会社Minto
https://minto-inc.jp/

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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