シンギュラリティとは?概念や2045年問題について解説
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2024.01.30 シンギュラリティとは?概念や2045年問題について解説

技術革新の加速度がピークに達し、人間の経済、社会、文化を根本から覆す未来の時点、それが「シンギュラリティ」です。

人工知能AIが自己改善を繰り返し、人間の知性を超える可能性を示唆するこの概念は、現代社会における最も刺激的で議論を呼ぶトピックの一つです。

2045年にはその時が来るとも言われていますが、はたしてそれは真実なのでしょうか?それともただの空想なのでしょうか?

この記事では、シンギュラリティの概念や、2045年問題について解説します。

シンギュラリティとは

シンギュラリティとは

1980年代からAI研究者が用い始めたシンギュラリティ(技術的特異点)とは、人間の知性を超える転換点を指します。

この概念はテクノロジーの進化が経済、社会、文化を変革し、AIが自己改善を通じて人間を超越する未来を示唆しており、数学者のジョン・フォン・ノイマン、SF作家のヴァーナー・ヴィンジ、未来学者のレイ・カーツワイルらにより提唱され、多くの議論を引き起こしています。

シンギュラリティが起きる時期

シンギュラリティが起きる時期

未来学者のレイ博士は、AIが人間の知性を超越し、科学技術が限界なく進化し続ける時期が2045年頃に訪れると考えています。

これを2045年問題と呼びます。

2045年頃には、経済、社会、文化などあらゆる面で予測不能な変化が起こり、人類にとって大きな転換期になるとされています。

彼のシンギュラリティ予言の根拠は、「ムーアの法則」と「収束加速の法則」によるものです。

ムーアの法則(Moore's law)

ムーアの法則(Moore's law)

ムーアの法則は、半導体の集積率が18カ月ごとに2倍になるという経験則で、これにより同じ面積の半導体の性能がほぼ2倍になるものです。

ただし、物理的な限界により、現在はこの法則が必ずしも明確ではないという意見も存在します。

2045年問題とムーアの法則は、どちらも技術の指数関数的進歩を前提としていますが、ムーアの法則に代わる新たな技術革新がなければ、2045年問題におけるレイ博士の予測がどのように実現するかは不透明です。

収束加速の法則(The Law of Accelerating Returns)

収束加速の法則(The Law of Accelerating Returns)

収束加速の原理は、技術進歩が指数関数的に向上し、新たな技術の発明が次の発明までの時間を短縮するという考え方です。

これを身近な例で説明するならば、「スマートフォンの進化」を挙げることができます。

初期の携帯電話が登場してからスマートフォンに至るまでの進化を考えてみましょう。

最初の携帯電話は単純な通話ができるだけのものでしたが、次第に小型化し、テキストメッセージの送受信が可能になり、その後インターネットに接続できるようになりました。

そしてスマートフォンが登場すると、その進化はさらに加速しました。

最初のスマートフォンから今日に至るまでの短い期間に、タッチスクリーン、GPS、高解像度カメラ、さまざまなセンサー、アプリの利用など、多くの機能が次々と追加されています。

そして、それらの機能は年々、より高度で、より速く、より安く提供されるようになっています。

このように、初期の遅いテンポから徐々に加速し、今ではわずか数ヶ月で新しいモデルが登場するほどの速さで技術が進歩しているのが収束加速の法則です。

つまり、技術は自らを改善することでさらなる進歩を加速させるというわけですね。

シンギュラリティが起きないという説も

シンギュラリティが起きないという説も

シンギュラリティについての意見は分かれています。

一部の専門家は、AIが人間のような「意識」や「自我」を持つことができないと主張し、シンギュラリティの到来を否定しています。

特に、アメリカのコンピューター科学者ジェリー・カプランは、AIと人間を同一視する考え方を否定しました。

また、ディープラーニングの解析ができない事象について正当に判断できないという観点から、「シンギュラリティは実現不可能」という否定的な意見も存在します。

シンギュラリティにより世界はどう変わるのか

シンギュラリティにより世界はどう変わるのか

もしシンギュラリティが起こった場合、世界がどのように変わるのかを説明します。

定型労働の置き換え

人間の仕事がAIに置き換わる動きは既に進行中で、シンギュラリティ後はこの傾向が顕著になると予想されています。

既に、工場の生産ライン管理、コンビニやスーパーのレジ、タクシーのドライバー等の定型労働がAIに置き換えられつつあります。

作業効率が格段に上がる一方で、職を失う人々が増える懸念や、AIがイレギュラーな事態に対応できるかどうかは議論の余地があります。

ベーシックインカム制度の導入

ベーシックインカム制度の導入

雇用問題の結果、ベーシックインカム制度の導入が世界中で進むと予想されています。

ベーシックインカムは最低限所得保証の一種で、人々が多様なライフスタイルを追求することを可能にしますが、財源の確保や就労者数の低下抑制などの課題もあります。

また、AIの所有による所得格差の増大も懸念されています。

人体の人工化

シンギュラリティの進行により、人間の脳や臓器をコピーする技術が生まれ、人体の一部を人工化する可能性があるとされています。

現在、人工関節の使用やIPS細胞による人工臓器への期待が高まっており、死の概念も変わる可能性があります。

しかし、すべての臓器が人工物に代わる可能性は現状では低いとされています。

シンギュラリティについてのまとめ

シンギュラリティについてのまとめ

本記事では、シンギュラリティの概念や、2045年問題について解説しました。

シンギュラリティは、技術の進化がある臨界点に達し、人類の経済、社会、そして文化を根底から変えてしまうような未来の時点を指すもので、特にAIが人間の知性を超える可能性がある点を示しています。

現時点では2045年頃に起こるとされ、実際に起きれば、大きな価値観の変化と未知の変化を引き起こすでしょう。

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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