トヨタ、全固体電池を27年に実用化
トヨタ自動車は6月13日、電気自動車(EV)向けの全固体電池の実用化を目指す方針を明らかにした。2027年から28年の間に全固体電池を搭載した次世代EVを市場に投入する。性能が高い全固体電池の実用化により、EV普及が加速することが期待されている。
全固体電池とは、電流を発生させるための電解質を液体から固体に置き換えた電池のことを指す。現在EVで主流となっているリチウムイオン電池よりも性能が高く、より短い充電時間で航続距離を伸ばすことが可能になる。
2022年に同社が発売したリチウムイオン電池搭載のEV「bZ4X」と比較すると、その差は明らかだ。「bZ4X」は一度の充電で約559km走行できるが、全固体電池を搭載すると、その距離は約2.4倍の約1200kmに伸ばすことができる。急速充電時間は10分以下を目指す。
一方、全固体電池は数十回〜数百回の充放電で劣化してしまい、実用化するには耐久性が足りなかった。トヨタは「課題だった電池の耐久性を克服する技術的ブレイクスルーを発見した」と主張する。
さらに、全固体電池はリチウムイオン電池に比べ、製造コストが高くて量産が難しいという欠点がある。トヨタでは現在量産に向けた生産方法を模索している。品質を落とさず、コストを抑える技術開発が求められる。
全固体電池の開発では日本が先行
近年、世界的にEVシフトが進む。2022年時点でのトヨタのEV販売台数は約2万台に止まるが、2026年には年間150万台、30年には350万台を目指す。
日産自動車も2028年までに自社開発の全固体電池を搭載したEVを市場に投入する予定だ。ホンダも2024年に生産ラインを設置し、全固体電池の量産技術の確立を目指す。
調査会社の富士経済によると、現在、全固体電池の世界市場規模はほぼゼロだが、2040年までには3兆8605億円規模に拡大する見込みだという。全固体電池の開発は日本勢が先行しており、今後も競争が激化すると予想される。
【関連リンク】
・トヨタ、2027年にも全固体電池を実用化へ EV普及の「起爆剤」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230612/k00/00m/020/209000c
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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