スマートホームの最新規格「Matter」とは?特徴と対応製品について解説
「スマートホームを導入したのに、メーカーごとにアプリが違って操作が面倒……。」そんな悩みを抱えたことはありませんか?
これまでのスマートホーム機器は、メーカーごとに異なる通信規格や専用アプリが必要で、異なるブランドの製品を一緒に使うのが難しいという課題がありました。結果として、機器の選択肢が狭まり、シームレスなスマートホーム体験を実現するのが困難でした。
そこで登場したのが、新しい共通規格「Matter」です。
Matterは、Apple・Google・Amazonなどの大手企業が採用しており、異なるメーカーのスマートホーム機器でも統一された基準で接続・操作できるようになります。
本記事では、Matterの特徴や対応製品について詳しく解説します。
- 目次
Matterとは
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スマートホーム機器における新しい共通規格「Matter(マター)」は、Apple、Google、Amazon、Samsungをはじめとする700以上のグローバル企業が参画する業界団体「Connectivity Standards Alliance(CSA)」によって策定された標準規格です。
これまでスマートホームデバイスは、メーカーごとに異なる通信規格や専用アプリを必要としており、消費者は機器選びに制限を感じていました。そこで、異なるメーカーの製品でも、消費者が好みのスマートホームプラットフォームで一元的に管理できるよう、Matterを開発。Wi-Fi、Bluetooth LE、Thread等の確立された通信技術を基盤とし、デバイス間の相互運用性を実現しました。
さらに、エンドツーエンドの暗号化によって高いセキュリティを確保し、ローカルでの動作により安定した応答性も実現しています。
Matterの日本参画企業
Matter規格の日本における主な参画企業には、通信事業者のNTT東日本、スマートホームソリューションを手がけるX-HEMISTRY、電子部品メーカーの村田製作所、電子部品商社のNEXTYエレクトロニクスなどがあります。
中でもNTT東日本は、日本の通信事業者として初めてCSAに加盟し、スマートホーム分野におけるソリューション開発とメーカー・サービス提供者間の橋渡し役として注目されています。
X-HEMISTRYは、CSAのメンバーとして国内外の関連企業とのネットワークを活かし、Matter普及の中心的な役割を担っています。
現在、日本企業の参画数は限定的ですが、グローバルスタンダードとしてのMatterの重要性が高まる中、今後さらなる企業の参画が期待されています。
Matterの特徴3つ
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利便性、安全性、信頼性を兼ね備えたMatter。
そんなMatterの特徴として、以下の3つが挙げられます。
マルチプラットフォーム対応の相互運用
Matterは、Apple HomeKit、Google Home、Amazon Alexa、Samsung SmartThingsなど、主要なスマートホームプラットフォーム間でのシームレスな連携を実現します。
たとえば、Google Home対応のスマートライトをApple HomeKitで制御したり、Amazon Alexa対応のスマートプラグをSamsung SmartThingsアプリから操作したりすることが可能です。
多層的なセキュリティ設計
Matterを安全に使うためには「なりすまし」や「不正アクセス」を防ぐ仕組みが必要です。
新しいスマートホーム機器(デバイス)をMatterのネットワークに追加するとき、そのデバイスが本当に安全なものか確認する仕組みがあります。これは、偽物や不正なデバイスが勝手にネットワークに入り込むのを防ぐためです。
Matterでは、デバイスが正規品であることを証明するために、いくつかのチェックを行います。
→ デバイスがMatterの認証を受けたことを証明するデータ。偽のデバイスが認証済みと装うことを防ぎます。
2.DAC(デバイス認証証明書)
→ それぞれのデバイスが持つ固有の証明書。メーカーや製品の情報が含まれており、本物であるかを確認できます。
3.証明書の確認
→ ネットワークに追加するとき、デバイスの証明書をチェックし、それが信頼できる認証機関(CA)によって発行されたものかを検証します。
4.秘密鍵のチェック
→ デバイスは秘密鍵(他人に知られてはいけない情報)を持っています。これを使ってランダムなデータに署名させることで、本当にそのデバイスが正規のものか確認します。
秘密鍵は、デバイスが正規品であることを証明するために必要なデータです。
もし漏れてしまうと、偽物のデバイスが本物のふりをしてネットワークに入り込む可能性があるため、秘密鍵はデバイス内の安全な場所に保存され、第三者に知られないように守られています。
QRコードによる簡単セットアップ
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Matter対応デバイスは、製品パッケージやデバイス本体に印刷されたQRコードをスマートフォンで読み取るだけで、自動的にネットワークへの接続と初期設定が完了します。従来のWi-Fi機器のように複雑なパスワード入力や手動でのペアリング作業は不要です。
また、一度設定したデバイスの設定情報は、対応するすべてのプラットフォームで共有されるため、プラットフォームごとに再設定する必要もありません。技術に詳しくない人でも、直感的にスマートホームを構築できます。
Matter対応の製品
現在、多くのカテゴリでMatter対応製品が登場しています。
カテゴリ | 製品例 | 特徴・機能 |
---|---|---|
照明デバイス | スマート電球 スマートスイッチ | 照明の遠隔操作やタイマー設定。 |
セキュリティ | スマートロック セキュリティカメラ | 鍵の管理。玄関や屋内の監視。 |
センサーデバイス | 温湿度センサー 侵入検知センサー | 室内環境の監視や、エアコンとの連携。 |
家電製品 | スマート家電 スマートプラグ | 通常の家電をスマート化し、遠隔操作や電力管理が可能。 |
自動化デバイス | ロボット掃除機 カーテン・ブラインド | 遠隔操作、スケジュール管理が可能。 |
Matter対応製品は急速に増えており、ファームウェアアップデートによる対応製品も多く存在します。最新情報は各メーカーの公式サイトで確認することをおすすめします。
Matterの課題
Matterは便利な規格ですが、まだいくつかの制限があります。
対応している製品が限られている
現在、Matterに対応しているのは 照明・スマートプラグ・ドアロックなどの基本的なデバイスが中心です。
そのため、次のような問題があります。
- 古いスマートホーム機器とは一緒に使えないことが多い → 買い替えが必要になる場合も。
- メーカーによってMatter対応の進み具合が違う → 欲しい製品が対応していない可能性も。
- 新旧製品が混ざると、複数のアプリやハブを使わないといけないことがある。
Matter対応製品を選ぶときは、手持ちのスマートホーム機器との相性を確認しましょう。
一部の機能が使えないことがある
Matter対応製品でも、一部の機能が使えないことがあります。
- AI分析や遠隔監視などの高度なクラウド機能が使えない場合も。
- メーカー独自の便利な機能がMatter経由では利用できないことがある。
- スマートスピーカーや音声アシスタントとの連携が制限されることがある。
購入前に、「Matter対応」だけでなく、どの機能が使えるのかを確認するのがおすすめです。
まとめ
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本記事では、スマートホームの新しい共通規格「Matter」について解説しました。
Matter対応製品を選べば、メーカーの違いを気にせず、よりシンプルで統一されたスマートホーム環境を実現できます。
対応製品の選択肢はまだ限られていますが、今後の拡充に期待が高まっています。スマートホームをもっと便利にしたい方は、Matter対応デバイスの導入を検討してみてください。
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:Freepik
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