専門用語学習機能を強化した議事録DX 「One Minutes」
政府による行政手続きのデジタル化を背景に、クラウド会計ソフトの市場が広がりを見せ、勤怠管理システムや人事管理システムは導入率が高まっていますが、議事録作成については、DX化はあまり進んでいません。
このような状況のなかで、quintet株式会社は専門用語学習機能を実装した議事録業務効率化ツール「One Minutes」を発売しました。
今回は、quintet株式会社の小守谷 直毅様より「One Minutes」についてお話をお伺いしています。
誰でもどこでも気軽に最先端の高性能AIを使える「One Minutes」
quintet株式会社はAI開発を専門とするスタートアップ起業です。AIを活用した自社プロダクトの開発と、開発での知見を活かして他社のAI活用支援も行っています。
弊社が開発・運営する「One Minutes」は議事録作成の効率化によって組織の生産性向上を目指す議事録DXです。
「One Minutes」の専門用語学習機能を強化することにより、業界固有の専門用語や独特な社内用語など、文字起こしの精度が下がる要因となっていた単語も正確に文字起こしできるようになりました。
「One Minutes」は高性能な最先端のAIを誰でも使えるのが特長です。
多言語間でのミーティングをリアルタイムで文字起こしして多言語(110カ国語に対応)に翻訳します。ミーティングの後は自動要約を行います。
専門用語学習機能が強化されたので、業界固有の専門用語や独自の社内用語、読みが難しい氏名なども正確に文字起こしできるようになりました。使い方は、専門用語が含まれているテキストをコピペするだけなので、とても簡単です。
リアルタイムで文字起こし・翻訳、自動で要約
ミーティングツールにも文字起こしと翻訳機能はありますが「One Minutes」は何が違うのでしょうか?
文字起こしと翻訳機能だけならGoogle meet、Zoom、Teamsなどにも実装されています。しかし、利用できるのは当該オンラインミーティングツールを使っている時だけです。「One Minutes」ならミーティングツールと一緒に使うこともできますし、対面会議で使うことも可能です。
パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも使えます。
スマートフォンなら、例えば外国人観光客と店舗スタッフのコミュニケーションツールとして使っていただけます。あとで、PCで見直しをして接客の改善に役立てることができます。
ミーティングが終わったあと、「One Minutes」はミーティングの内容を自動的に要約します。操作は要約ボタンを押すだけです。
デフォルトテンプレートの場合、文章全体の要約と、課題・決定事項・発生したタスクの3項目を箇条書きで書き出します。要約テンプレートは用途に合わせて好きに作ることができ、要約する項目は用意されている項目の中から3つ選べます。
上記はフェイズ1です。今後はもっと自由度を高め、構造化もできるようにしていきます。
専門用語について、単語と読みを辞書登録するのは大変です。「One Minutes」なら専門用語が含まれているテキストをコピーして「One Minutes」内の音声テンプレートにペーストし、あとは普通に文字起こしするだけです。
学習させるテキストは、2万字以内ならさほど時間はかかりません。2万字以上でも学習できますが、1時間程度かかるので午後の会議なら午前中に準備しておいたほうがよいでしょう。
テキストの検索置換機能がありますので、文字起こししたテキストは修正が可能です。今後の計画では、過去に修正した内容を自動で学習し、2回目以降の使用では正しく文字起こしできるようにします。
精度向上に注力しています。文字起こし精度、翻訳精度、要約精度、検索精度の向上です。
現在でもある程度の精度は出ていますが、議事録のたたき台として使っていただき、必要に応じて文字起こしテキストを基に修正していただいています。
自動要約についてはカスタマイズ性を上げていきますが、使いこなすには一定のリテラシーも必要です。「One Minutes」の良さは、最先端のAI技術を直感的なUIで使えることですので、バランスが難しいと思っています。
起業する前、大手企業の管理部門に3年半ほどおり、議事録をたくさん作りました。起業後はシステム開発の受託などをしていますが、そこでも議事録は重要でした。
議事録をワードなどで書いて、メールで送って確認した上で保存しますが、大事なときにどこにあるかわからないことがあります。議事録はDXが全く進んでいないので何とかできないかと思いました。
2020年の年末、これまでアナログだった会計や勤怠管理などのDX化が進んでいた頃に議事録DXの着想を得ました。システム開発をしながら新規事業の開拓をしており、反応がよかったのが議事録DXでした。
日本語と英語のミーティングで使っていただくと、完璧ではないが「英語ができない人も積極的に参加できる」「英語ができる人もニュアンスが正しく理解できていないのではという不安がなくなる」「自動要約機能は欠かせない」など、満足度が高かったのです。
そこで、最初のターゲットは外国語ミーティングで言語に課題を抱えている人たちとしてマーケティングを始めました。今は大企業の決裁者の方にも使っていただくことを意識して開発しています。
言葉の壁を超え、知の結合をサポート。プロジェクトの水先案内人を目指す
今後AIによってどのような変化が起きるかビジョンはありますか?
言語の壁がなくなっていくと思います。これまで非英語圏の人には場所と言語というふたつの壁がありました。
場所については、オンラインミーティングツールやメタバースでほぼ解決できています。言葉についてまだ壁は残っていますが、私たちも含めてみんながチャレンジしており、いずれ解決するでしょう。
言葉の壁がなくなれば非英語圏の人が英語圏に出ていきます。アジア圏やアフリカ圏の知と英語圏の知が交錯して知の結合が生まれ、イノベーションが起きる確率が上がると思います。
御社の今後の展望などはありますか?
「One Minutes」がグローバルプロジェクトの水先案内人になれたらと思います。
「One Minutes」の次の課題としては、「あの会議で何と言っていたか」「あの発言はどの会議のときだったか」などをすぐに検索できるようにすることです。AIを活用して会話を分析し「過去の議事録のこのログが活かせます」と提案する機能の開発も計画しています。
多言語での会議をリアルタイムで翻訳・文字起こし、議事録を作成し、さらに機能や精度を増すことによって、英語圏の人と非英語圏の人の交流を増やし、イノベーションを増やすことを陰から支えていきたいと思います。
key point
- 「One Minutes」は議事録作成の効率化によって組織の生産性向上を目指す議事録DXである。
- 多言語間でのミーティングをリアルタイムで文字起こし・翻訳する。110カ国語に対応している。
- ミーティングが終わった後、要約ボタンを押すだけでミーティングの内容を自動的に要約する。
- 専門用語学習機能が強化されたので、専門用語が含まれているテキストをコピペするだけで正確に文字起こしできるようになった。
いかがでしたでしょうか。
新人や若手にとって議事録の作成は負担が大きく、議事録の作成を依頼する上司にとっては、作成者によって書き方や質にバラつきがあることが不満になっているのではないでしょうか。
しかし、議事録は会議での決定事項を明確化する目的のほかに、出席者の備忘録や出席者以外との情報共有という側面もあり、とても重要なものです。
議事録がもっと効率的に作成され、もっと業務に活用されたら、新しいアイディアが生まれ、生産性が向上するかもしれません。
業務の効率化を図り、安定したクオリティを保つために、議事録DXの導入を検討されてはいかがでしょうか。
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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