XがユーザーデータをAIトレーニングに利用
SNSプラットフォーム「X」(旧Twitter)のユーザーたちは、予期せぬ変更に驚かされた。自分たちの投稿や対話が、Xの対話型AI「Grok」のトレーニングに利用されることが明らかになったのだ。この新しい設定は、ユーザーが自身で無効にしない限り、デフォルトで有効になっている。
Xの設定ページには「ポストに加えて、Grokでのやり取り、インプット、結果をトレーニングと調整に利用することを許可する」という説明文が追加された。さらに、同じ目的のために「サービスプロバイダーのxAI」とデータを共有する可能性も明記されている。
この突然の変更に対し、多くのユーザーが懸念を表明している。ユーザーデータをAIシステムのトレーニングに利用する行為は、近年物議を醸しており、AppleやOpenAI、Metaなどの大手テクノロジー企業も同様の批判にさらされている。
現時点で、この設定の無効化はデスクトップ版Xでのみ可能だ。「設定」から「プライバシーと安全」を選択し、「データ共有とパーソナライゼーションズ」セクションにある「Grok」のチェックボックスを無効にする必要がある。モバイル版Xには、まだこの設定項目が存在しない。
ユーザープライバシーの問題
Xのこの動きは、AIの発展とユーザープライバシーの保護という、テクノロジー業界が直面する大きなジレンマを浮き彫りにしている。AIモデルの性能向上には膨大な量のデータが必要であり、各企業は新たなデータ源を模索している。
Xのオーナーであるイーロン・マスクが設立したxAIは、先日「世界最強のAIトレーニングクラスタ」をテネシー州メンフィスで稼働開始したと発表した。しかし、高性能な設備だけでなく、質の高いトレーニングデータも不可欠だ。Xの膨大なユーザーデータは、Grokの性能向上に大きく貢献する可能性がある。
一方で、ユーザーの同意を得ずにデータを利用することへの批判も強い。オープンソースインテリジェンスアナリストのOliver Alexander氏は、「Xは今、すべてのユーザーに対してデータ共有をデフォルトで有効にしています。これは、Xでのすべての投稿、インタラクション、データをGrokのトレーニングに使用し、このデータをxAIと共有することに同意したことを意味します」と警告している。
さらに、イーロン・マスクはGrokをテスラの自動運転ソフトウェアに統合する計画を明かした。これは、ユーザーデータの利用範囲がさらに拡大する可能性を示唆している。Xからの公式発表はまだないが、この変更はユーザーのプライバシー意識を高め、AIの発展とデータ保護のバランスについて、より広範な議論を呼び起こすきっかけとなりそうだ
【関連リンク】
・Xがユーザーの投稿をAIチャットボット「Grok」の訓練に使用開始(Microsoft Start)
https://x.gd/GjZfn
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TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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